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 Movie Review 2002・5月24日(FRI.)

アザース

公式サイト: http://www.others-jp.com/

 スペイン映画『オープン・ユア・アイズ』を見て感動したトム・クルーズ、監督のアレハンドロ・アメナバールに「ハリウッドでオレ様主演でリメイクしようぜ! おい」と持ちかけたものの、「リメイク権は売ってあげるけど、同じ話を撮るのはいやだなあ」と断られたので、そこでトム・クルーズ、「そいじゃあ、題名は『バニラ・スカイ』に変えさせてもらってキャメロン・クロウ監督でリメイクさせてもらうよ。代わりといっちゃなんだが、どうだい、オレの嫁さん主演で何か撮ってよ、コラ」…というわけで、トム・クルーズ製作、アメナバール監督、ニコール・キッドマン(当時トム嫁)主演の、「ゴシック・ホラー」。…と言われておりますけど割と「モダン」なホラーでした。どうでもいいですが。

 1945 年、第二次大戦末期のイギリス、ジャージー島。ニコール・キッドマンは、出征した夫の帰りを広大な屋敷で待っております。ある朝、霧の中から、3 人の新しい使用人がやって来ます。ニコールは使用人に邸内を案内します。

「うちじゃあね、部屋がいっぱいあるけれど、一つのドアを出たら必ずドアに鍵をかけてちょうだいね」。薄暗い邸内を、一室一室、鍵を開けギー、バタン、鍵を閉め、ギー、バタン、鍵を開け、ギー、バタン、鍵を閉め、ギー、バタン、…と案内します。うーん、怪しい。こういう感じで、血しぶきが上がるでもなく首がモゲるでもなく、ジワジワーッと奇妙な雰囲気を盛り上げていきます。アメナーバル監督、若干 29 歳なれど、悠揚迫らざるタッチは巨匠の老人力演出と見まごうばかりのオットリぶりですね。

 で、私、最新の音響設備を誇る MOVIX 京都で見たのですが、音響が素晴らしい。誰もいない二階から走り回る足音が聞こえてくるとか。その音像のリアリティに腰を抜かしてたまげました。気色悪い。

 で、謎が謎を呼んで…オチは書けませんが、ニコール・キッドマンの一本調子演技がたっぷり堪能できます。クラシックと言ってもよい演出は、「なんかモノ足りない」って方もおられるでしょうが、意地悪さが足りないロマン・ポランスキーって感じのアメナバールの美意識をお楽しみください。バカカップルにはオススメできない。

☆☆★★★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2002-May-24;

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