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 Movie Review 2002・12月11日(WED.)

tokyo.sora

公式サイト: http://www.tokyo-sora.jp/

 むむむ。東京の空の下に暮らす 6 人の女性の物語、ということだそうですけれど、何なんでしょうかね、これは。監督は、これが長編映画デビュー作の石川寛という方で、コマーシャルの演出を専門にされておられる方だそうですが、6 人の女性を盗撮したかのような画面を脈絡なくブツブツと繋ぎ合わせた印象です。なにぶん画面が暗く、しかも盗撮ですから登場人物の顔がよく見えません。板谷由夏は『アベック・モン・マリ』でおなじみでしたので、「あ、この人は板谷由夏で、どうやら作家志望なのですね。しかし、下着姿で小説を書くとはサービス満点ですな。はっはっは」と了解できるのですが、その他の、井川遥、仲村綾乃、高木郁乃、孫正華、本上まなみたちは、パッとシーンが変わって「えーっと、えーっと、この人、誰だっけ?」とモジモジしている間にまたもやシーンが変わる。…この堪え性のないシーンの切替はいかがなものか? 私を面白がらせないためにワザとしているとしか思えません。恨みでもあるのでしょうか。

 ともかく、6 人の女性の生活をザッとスケッチ、カフェでたまたま隣り合わせた他人の生活をのぞき見るような作品です。ふと耳をそばだててみても、いかにも東京の話らしく、オチも何にもない会話がダラダラと続くだけなんですけどね。ここに登場する女性たちは、東京での生活に疲れ、退屈しているらしいのです。すなわち、彼女たちの「つまんない日常」を追体験させようと、ワザとつまらなくつくられている、コンセプチャルな作品なのでした。この作品を見れば、東京には住みたくないなぁ、と誰しも思うのではないでしょうか。暗いし。

 というか、普通の(?)映画でも、何気ない風景や街の雑踏が映し出されて、ふと気を抜く瞬間がありますよね? 映画には「緊張と緩和」が必要でして、クライマックスが盛り上がるためには、息抜きカットも必要。いわば、「刺身のツマ」「寿司屋のガリ」「ステーキのクレソン」。この『tokyo.sora』は、そういうツマ、ガリ、クレソンだけで一本の映画が成り立つか? という実験作でもあります。『トリプル X』『マイノリティ・レポート』などの脂っこい映画を見た後のお口直しにピッタリ。逆に、この『tokyo.sora』を見た後なら、大抵の映画がひきたって見えることウケアイです。

 見たかったら見てください。止めはしません。…ってか、アドリブが効きまくりの、板谷由夏と井川遥をめぐるシーンだけ抜き出して 30 分くらいにまとめたら、マイク・リー映画みたいな面白い短編になったと思います。かろうじてオススメ。

(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2002-Dec-11;

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