トゥーム・レイダー
セシル・B に言わせればゲームの映画化とは、映画をダメにする許しがたき行為にて、映画テロの対象となります。『ファイナル・ファンタジー』を上映する劇場に我々(誰)は敢然と突撃し、メガホンを取り出し「この劇場は我々が占拠した。こんな映画を上映するのは許さん! これよりロシア帰りの日本映画『お馬は七十七萬石』を上映する! 諸君、映画革命に参加せよ!」とアジテーションの一つもブチたくなるではないですか。
そんな話はどうでもよく、『トゥーム・レイダー』の場合、まあ大筋はゲームの映画化にありがちなしょうもない話、ロールプレイングゲーム的ストーリーを呆然と見せられてもナー、「BAD CINEMA」のレッテルを貼られ罰せられても文句は言えないのですが、それを救って余りあるどころか傑作足り得ているのは、アンジェリーナ・ジョリーのカッコ良さによるのであります。
これまでネクラ/怠け者/引きこもり/反抗的(『17 歳のカルテ』のイメージですけど)なアンジェリーナが特訓の末、超絶ワイヤーアクション(見えたまま)に挑み、二丁拳銃をガシガシぶっ放す! どうしたアンジェリーナ、こんなに頑張るとは! ギャラが良かったか? ともかくアンジェリーナ最高! なのです。
ふてぶてしさ満点でビシバシアクションをキメる風情は、ショーン・コネリー時代のジェームズ・ボンドを彷彿とさせます。いかなる危機に陥ろうともユーモアを忘れず、正義や大義を振りかざさず、自らの娯楽/趣味として軽々と世界を救う…、というイカす主人公造型に見事成功しております。
左様、俳優の肉体とは、同じゲームの映画化とはいえ、『ファイナル・ファンタジー』と『トゥーム・レイダー』をかくも隔ててしまうものなのですね。スリル無し、サスペンス無し、ミステリー無しの無い無いづくしは同じなんですが、アンジェリーナが居ればそれでオッケー、キコキコ動く CG とはワケが違いますね。CG 多用で映画はどんどん死につつあるのですが、それを救うのは、鍛えられた俳優の肉体なのであります。
が、一方の CG も、ギゴガガガと石像が動くあたりは『アルゴ探検隊の大冒険』的レイ・ハリーハウゼン・タッチを再現しており…、と映画オタクみたいなことを言って申し訳ないですが、いやむしろ、手塚治虫『三ツ目がとおる』の雰囲気ではないか? と私は卒然と思うのですがどうでしょうか。ゲームもこんなですか? いや、なかなか面白かったです。
ともかく、ジョン・ボイトとの父娘共演も泣ける感じ、そんなこともどうでもよくて、アンジェリーナ最高! アンジェリーナ主演でガンガン続編を作っていただきたい、お盆と正月は『トゥーム・レイダー』! という感じ。そのためにはもっと CG よりも頭を使って安めに仕上げて欲しいな、と思うわけです。『ラッシュ・アワー 2』と並ぶ 21 世紀の超オススメ作です。いや、話はつまらんのですが。
BABA Original: 2001-Jan-09;