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Movie Review 5月1日(Tue.)

ザ・メキシカン

 私が大嫌いなドリームワークス製作作品…って、最近右を向いても左を見てもドリームワークスばっかりですね。嫌な渡世になったものです。中には『あの頃ペニー・レインと』『アメリカン・ビューティ』みたいな傑作もあるんですが、スピルバーグ監督作を筆頭に間抜けな大作が目白押し、しかし圧倒的な資金力で大宣伝を繰り広げ、それなりにヒットを飛ばしてしまいますからムカムカします。

 さて、そんなドリームワークスの新戦略は、今やアカデミー主演女優賞に輝く、女性マネーメイキングスター No. 1 のジュリア・ロバーツと、ヤングから圧倒的な支持を受けるブラッド・ピットを共演させれば、うはうは儲かること間違いなし! というものです。

「でも、二人とも売れっ子で共演なんて無理ですよ。」とのまっとうな意見はドリームワークスでは通用しません。大丈夫、大丈夫、映画ってのはマジックなんだぜ、ジョン(誰?)、二人が同じフレームに納まるのはちょっとだけでいいのさ。物語の最初で二人に喧嘩させてさ、映画のほとんどは別行動を取らせればいいじゃん、ベイビー、ってことで(適当な想像です)、そういうお話です。

 しかし、そもそも脚本にも撮影スケジュールにも無理があるそんな企画、大抵の監督は引き受けませんよね。きっと名のある監督はギャラにクラッと来たものの作家としての良心が許さず、オファーを断ったことでしょう。そこで白羽の矢が立ったのが、ゴア・ヴァービンスキー監督だった!

 …ご存じない? あの『マウス・ハント』の監督といえば、「あぁぁぁぁぁ! それじゃあ『ザ・メキシカン』が面白くなるはずないじゃん!」と納得していただけるのではないでしょうが。ところが! …と、書きたいところですが案の定、とてつもなく詰まらない映画になってしまいました。ジュリア・ロバーツ、ブラッド・ピットという、ただ画面に存在しているだけで映画的興奮を巻き起こすキャストにしてこの詰まらなさ。ゴア・ヴァービンスキー監督、さすがです。私は、徹底的に才能がないばかりか、他人の才能をもスポイルしてしまう監督の存在、そしてその監督が抹殺されずに生き残っていることに、ハリウッドの底力を見て取り、呆然と感動したのでした。

 ジュリア・ロバーツは『マイ・フレンズ・ウェディング』あたりから出演作品全てが傑作だったのですが、ドリームワークスの「映画を詰まらなくする負のパワー」にはさすがに勝てませんでした。残念です。ブラピ的にも「そこらへんにいそうなボンクラ」感漂って、どうなんでしょ?

 オススメ度は『クレヨンしんちゃん 嵐を(略)』の 30 億分の 1 、というところが妥当なところでしょうか。でも、みんな『ザ・メキシカン』見に行ってしまいますか? 退屈さに悶絶してください。では。

BABA Original: 2001-May-01;

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