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Movie Review 7月1日(Sun.)

ザ・コンテンダー

 アメリカ初の女性に対する副大統領指名をめぐる、アメリカ民主党のプロパガンダ/政治映画です。「contender」とは、“争う人、論争する人”の意にて、政治家たちの丁々発止のやりとりが映画の大部分を占めます。

 いかに開明的なアメリカといえど、いまだ女性と黒人が副大統領に指名されたことはなく、「Q :なぜ、黒人の副大統領がいないの? A :黒人を指名すると、指名した大統領は絶対暗殺されちゃうから」なーんてジョークがあるらしいですが、女性に関してはヒラリー・クリントン女史を大統領にしようという動きがあるようで、この映画の結論は、映画の中のセリフ=「そろそろ女性が行政のトップに立ってもいいじゃないか!?」と、いうことですな。

 ジェフ・ブリッジス演じる民主党大統領は、任期の最後の一年、「いっちょう歴史に名を残すか!」とジョーン・アレン女史を副大統領に指名します。彼女が正式に副大統領の座につくには、聴聞会を経て議会の承認を得なければならないのですが、指名確実と噂されていたハサウェイ知事と聴聞会議長ゲーリー・オールドマン共和党議員は「ジョーンむかつく!」とタッグを組んで、ジョーン下ろしを猛然と開始します。ゲーリー・オールドマンが議員役とは意外でありますが製作も兼ねておりまして、一見ジャン・リュック・ゴダールみたいな扮装(黒眼鏡+ハゲ)にて好演。

「ジョーンが大学時代に乱交パーティに出席!」というスキャンダルが持ち上がり、ジョーン一派は窮地に立ちます。しかし、「フランスじゃあ大統領が不倫しても全然問題にならんのよ。こりゃプライヴァシーの問題。真偽を回答する必要なし!」との態度を押し通します。なんと。この映画は、女性(副)大統領待望論のみならず、クリントン前大統領のセックス・スキャンダルまで一気に免罪するつもりなのでした。ここで一句。政治家とは 恥知らずの 卑語なのよ。

 図々しいにもホドがある! と私は憤然と感動したのですが、図々しさの裏側には確固たる信念があるのですね。まあ、なんちゅうか、政治家って大変ですナー。

 ともかく、一見ワイドショー受け狙いの論争の影に猛烈な情報戦が繰り広げられる様がスリリングに描かれ、ゲーム感覚の面白さもあって、ハッと気付くと「やっぱり女性がトップっていいかもネー、プライヴァシーを政治に持ち出すのはヤボだよネー」と、妙に納得してしまうから不思議ですね。

 アメリカ政治の舞台裏が垣間見られるのでオススメです。セシル・B ・ディメンテッド的には、「女が副大統領になる それが罪ですか?」…ってな宣伝コピーは的はずれ感バチグン! いっそゲイが大統領になる話の方が 1 億倍面白いぞ! パニッシュ・バッド・シネマ! しかし、プロパガンダ映画は何かと面白いので許す…ってなところでしょうか。

BABA Original: 2001-Jul-01;

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