最終絶叫計画
つまり、「ラスト・スクリーム・プロジェクト」っつうことで、主に 90 年代のヒット映画をパロったコメディ。「パロった」という言葉を聞くと悲しくなるのはワタクシだけでしょうか。原題は“Scary Movie”。
おおよそのストーリーは『スクリーム』と『ラスト・サマー』。『スクリーム』は見てるが、『ラスト・サマー』は未見。で、話によると 30 本以上の映画がネタになっているらしく、「映画好き」なら楽しめること必至、ってことだが、あまり映画好きでない者、例えばボクのような者でも面白く見ることができた。
ネタの『スクリーム』自体、劇中に「『13 日の金曜日』一作目の犯人の名前はなんでしょう?」ってセリフがあり、ホラー映画に対する批評的な見地に立って紋切り型をコケにして楽しむ、という面があり、『最終絶叫計画』はさらにそれをパロディ、つまり、紋切り型をさらに紋切って、紋切りの二乗、メタ紋切り。シュールな味わい、ちょっと脳味噌がとろけるって感じ? でなかなかよろしい。
『モンティ・パイソン』。日本ではインテリが喜ぶコメディって印象だけど、イギリスじゃあそこら辺の労働者階級のオッサンが涙を流して笑うベタベタのネタなんだよねー、とかおっしゃる方がいて、『モンティ・パイソン』の場合、元になっているネタに馴染みがなくてワケがわからんところが脳味噌とろけ感。『最終絶叫計画』も、そういうところがあって、映画好きでなければないほど、楽しめる(かもしれない)作品になっている。ってか、ネタが一目瞭然のいくつかのギャグは結構しょうもなかったりしまっせ。
監督はキーナン・アイボリー・ウェイアンズ、共同脚本はショーン・ウェイアンズとマーロン・ウェイアンズの三兄弟が作った映画、って、「下品」なネタの数々は『キングピン』のファレリー兄弟風、であるが実はウェイアンズ兄弟ってば黒人。最近は黒人が監督しても騒ぎません。中身的にも黒人でなきゃあ作れないってワケではないが、黒人の描き方に差別的なところがちょとあって、そゆところは黒人ならでは。黒人専門テレヴィ局が殺人事件を取材に来るのだが、「おわ! 警察が来たぞ、黒人が犯人にされちゃうぞ、逃げろ!」とスタコラ撤退するところとか。お前ら何やねん! と関西人なら誰しもツッコミを入れてしまうだろう。あ、短小差別もあります。
パロディっつうと『フライング・ハイ』、『トップ・シークレット』、『裸の銃を持つ男』ってなズッカー兄弟+ジム・エイブラハムズによる傑作があって、最近はああいうのが無くて悲しい、とお嘆きの貴兄にはオススメだ。しかし、兄弟ってぇとコーエン兄弟、ウォシャウスキー兄弟、アメリカの兄弟ってオタクばっかりですね。
BABA Original: 2000-Sep-07;
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