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Movie Review 2000・12月26日(TUE.)

正月映画独占対談
 最高!『シックス・デイ

管理人
21 世紀を目前に控え、年末・正月はこの映画を見ておけば動向はバッチリ、この冬の話題を独り占め! と、にっこり微笑むオパール映画ボンクラ映画評判家のババさんとヤマネ氏に久しぶりに来ていただきました。
一部、ネタに触れておりますのでご注意ください
ヤマネ
こんばんは! 最高でしたね、『シックス・デイ』。
管理人
私は未見なんですが、噂では同じくクリスマス映画の『グリンチ』の 2000 倍は面白いとか。
BABA
シム・ドール最高! シム・ドールを見るだけでも、この映画の価値はあるね。
ヤマネ
怖すぎます。怖すぎます。怖すぎます。怖すぎます。怖すぎます。
BABA
…。『シックス・デイ』はクローン人間を作ることを法律で禁止された近近未来の話なんだけど、動物などはクローン化が許されているわけだな。で、シム・ドールというのは、限りなく人間に似せた少女のアンドロイドです。皮膚とかも忠実に再現されている。限りなく不気味な容姿なんだこれが。
ヤマネ
シュワちゃんは、最初、愛犬が亡くなった時にクローンの犬を買うことに抵抗を感じているんですよね。娘がおねだりするんだけど、「クローンはダメだ! 気持ち悪い」とか言って。
それなのに、お店でシム・ドールを一目見るなり、「か、かわいい!」とかって「娘にはペットの代わりにこれをプレゼントだ!」だって。絶対あんな気色の悪い人形、喜ばないでしょう、普通の感覚では。シュワちゃんあんまりです。
BABA
ハハハ。確かにあの人形をかわいいと思う感覚にはのけぞったね。
それにしても、今回の映画がよかったのは、『エンド・オブ・デイズ』と違って、家族を大事にしているところだ。やっぱりシュワは、家族を大事にしないとダメだ。『トゥルー・ライズ』とか『ジングル・オール・ザ・ウェイ』とか『ツインズ』とかのようにね。守るものが無いと、シュワちゃんの持つ強さの意味が無くなるんだ。無意味に強いだけじゃあダメでしょ。
ヤマネ
シュワちゃんの場合、凶悪な敵より、守るべき家族を与えたほうが映画がうまくいくということですね。
BABA
しかもこの映画の場合、脚本もなかなか良く練られているぞ。クローン人間の描写というのは科学的にかなり無理がある場合が多いけど、一応もっともらしい説明などがある。もちろんめちゃくちゃなんだけど。
しかも、前半は、後半のクライマックスにそなえてひたすら伏線をはることに執着しているのも可笑しいな。
ヤマネ
シュワちゃんの職業はヘリコプターのパイロットなんだけど、いきなりオープニングで 2 機のヘリコプターが飛んでいるところから始まるんですよね。操縦士はシュワちゃん独りなのに。
で、新しく開発されたリモコンによって、一人で同時に複数の(2 機)ヘリを飛ばせるようになったぜイエーイ、ていうのを観客にみせる。こ、これは絶対後でなんかかっこいい使われかたをするナ! って期待をもたせる。上手い!
BABA
…どっちか言うと下手でしょ。ばればれすぎて。100 人が 100 人そう思ってるって。
ヤマネ
いやあ、あれぐらいわかりやすく伏線を張っておいてもらえると、もう後半を観なくても十分じゃないですか。うむ。って感じで。
それは兎も角、クライマックスでは確かにそのヘリが出てきて、敵達がシュワちゃんが乗ってると思って攻撃するんですよね。で、残念ホンモノはこっちでしたー。っていうオチ。うわあああああああああああ。(頭を抱えるヤマネ氏)
BABA
気持ちよく脱力してんじゃん。
あと、最初にヘリに乗るための契約書にサインする場面が出てくるけど、あれも後々きいてくるんだな。当然こっちのボディーにきくんだが。
それから、クローン人間の指を銃でぶっ飛ばす場面もあって、おお、残酷! とか一瞬思うけど、冷静にその指を拾ったシュワちゃん、後で敵の建物に侵入する際に、指紋認識のセキュリティー・システムをすいすいとそれで通過していくんだな。バカなんだけどバカじゃないっていうか…。
こんなにも伏線をはりまくって前半盛り上がる映画もないぞ。シム・ドールだって、ネタふりだけで、結局オチがないし。詰めが甘くて素晴らしい。
ヤマネ
関西人にはつらい内容ですよね。つっこみ、オチが無いと不安になるっていうか。
にしても印象の薄いラスボスでした。去年の年末にとびっきりの悪魔を倒してしまったから、予想されたことですが、強烈な悪役が不足がちですねえ。‥そうか、クローンを作るのは 1 体 200 万ドルか‥。10 分でできるんですよね‥ブツブツ‥。
BABA
結局クローン・シュワが、自分がクローンだということを納得して家族のもとを去って南米にいくラストもすごい。(注:クローンはオリジナルと全く同じ記憶も持つ。つまりクローンであるという自覚はない)
愛する家族との過去の記憶まできちんとあるのに、オリジナルの方に「あとは頼んだ!」みたいにして独りで生きていけるか? 普通。実は以前から家族を愛する気持ちと、もう一方では、南米にでも行くとか、何かに挑戦してみたい自分もいる、みたいなことが前半に描かれていれば問題はなかったんだけどね。こういうキモの伏線を張り損ねているところなんかも見所だ。
ヤマネ
でも、次の映画からシュワちゃんは 2 人で出るんでしょ。恐いものなしですね。


すごいぞ! 『グリンチ

ヤマネ
映画が始まって何分で出ていこうかと思いましたか? 僕 15 分。
BABA
10 分ぐらいかな。これは本当にとんでもないものを観せられたという感じだね。
ヤマネ
ジム・キャリー主演、とかうたっていても、決してジム・キャリー・ファンを満足させません! 今年観たなかで最も退屈な映画。
BABA
やはりクリスマスシーズンにはこういう映画でも一本公開しておくか、っていう程度の軽い気持ちで撮ったんだと思うが、全米ナンバー 1 が 4 週連続か…。大丈夫かアメリカは。
ヤマネ
昨日だかの朝日新聞に、今年のアメリカでの興行収入の第一位に『グリンチ』が躍り出た、と書いてありましたよ。
BABA
えええええええええ!!(4 m 後退) うーん。アメリカの人たちとは永遠に解りあえない気がする。ちなみに 2 位は?
ヤマネ
『ミッション・インポッシブル 2』だったかな。
BABA
うーむ。グリンチというのは一人だけ他の村人とは違った皮膚の色をした変わり者のおやじの名前だな。子供の頃にクリスマスに悪い思い出があるため、今もひどくクリスマスを憎んでいるグリンチは、人々の楽しみをぶち壊してやろうと企むが、一人の少女によって…って、ああ、喋っているだけでも恥ずかしい! くだらない!
要するにクリスマスという行事を、移民たちにアメリカが押しつける映画ということだ。社会主義的な指向を持つグリンチに、やっぱり資本主義はええなあ、と思わせるという帝国主義的映画なんである。
ヤマネ
深読みしてもつまんないものはつまんないですね。もう『グリンチ』の話はやめましょうよ。確かにこの 20 世紀最後の冬に突出している映画ではあるんですけど。
それに引き替え、真打ち登場『ゴジラ×メガギラス G 消滅作戦』! 最高!


今年の『ゴジラ』は、いい!

BABA
いやあ『ゴジラ 2000』がひどかったものだから、一体どうなることかと思っていたが、ほとんど傑作に近いね。今回でゴジラの歴史は変わったといっても良い。
ヤマネ
というかゴジラ消滅しましたやん。
管理人
またオチをばらすー。
BABA
ゴジラも今世紀で終わりだね。五山の送り火でさようならだ。それはともかく、出だしの大阪、御堂筋通りをリニアモーターカーみたいなのが突き進むシーンはかっこいい。
大阪城の真横に国会議事堂がでーんと建っていて、「首都、大阪」とかテロップが入るのには驚いた。なんで、東京にあったのとわざわざ同じ国会議事堂が建ってるんですか? 首都を大阪に移転させるなら、新しい議事堂を建設しませんか。安藤忠雄にやらせるとかして。
ヤマネ
あれは移築です。
BABA
がーん。それのほうがお金かかるんとちゃうん。…予算の無駄遣いで思い出したけど、あのメガギラスっていう怪獣を出す必然性みたいのものはあるのかな。人間の開発したブラックホールミサイル(!)対ゴジラ、という設定だけでは映画として弱いのかしら。そうなんだろうなあ。
やっぱりゴジラを見に来るお子さん達には、怪獣プロレスが無かったら満足して帰ってもらえないだろうしな。「子供を座らせるには怪獣プロレス」という名言まであるぐらいだから。ってそんなわけないか。
ヤマネ
一人で納得しないで下さい。確かにメガギラスは必要ないですね。でもね、メガギラスになる前の幼虫で、大量にゴジラの周りをブンブン飛び回っていたメガニューロンとかいうトンボの化け物みたいなのがいたでしょ。あれ、僕の学生時代の友人で特殊メイクの道にすすんだのがいて、全部その子が作ったんですよ。
渋谷のビルにべったりとくっついていたり、無人島でゴジラを襲ったりするんですが、CG 使ってないんですって。100 匹作れって言われてたのに、どうしても間に合わなくて、60 匹で許してもらったそうです。羽根とか型取るのが面倒くさいらしい。見ればわかるけど。「素晴らしい仕事ぶりだったね」って言ったら、何故か怒ってました。
BABA
ははは。後、カレーライスの場面は腹がよじれるぐらい面白いでしょ。
ヤマネ
そうでした、そうでした。主役の男性は秋葉原の電気店で技術者みたいなバイトをしていて、店に遊びに来ている数人の子供達に手品をしてみせるんですよね。テーブルの上にカレー粉、お米、福神漬けを少し離して置いて、丸いボールを上からかぶせて何秒か待つ。で、そのふたをぱっとよけると、見事カレーライスになっている! っていう手品。子供達は「おお!」っとなりますね。
そこに田中美里がやってきて、「こんな子供だまし!」とかブーたれつつそのお椀をひっくり返すと、超小型ロボットが 3 体いて、せっせとカレーライスを作っているという‥。それを見せられた子供達が口を揃えて「なーんだ、つまんねえの。みんな、いこうぜ!」だって! ウソー! そっちのほうが断然すごいやん!
BABA
その後の男性の台詞が田中美里に向かって「子供の夢を壊すなよ!」だもんな。
ヤマネ
とにかくゴジラは見所満載。人工衛星とかペラペラの絵にしか見えないし、フジテレビ前の闘いは背景写真がもろばれだし。SFX に関しては、完全に『スペース・カウボーイ』に勝ちましたね。
BABA
FRP で出来たアップのゴジラもしょぼいし、人工衛星打ち上げ時の種子島の映像は急に画像が荒くなって、どっかからとってきました、っていうのが一目瞭然だし。
それに本編上演前の予告編も充実のラインアップだったでしょ。来春のアニメの予告が勢揃いで最高だったな。『ポケモン』『がんばれジャイアン』『クレヨンしんちゃん、大人帝国の逆襲』とか。来年もやっぱり東宝の年になる。と、予告編を見て確信したよ。
ヤマネ
あれ? 来年もシュワちゃんの年じゃないんですか。
BABA
…。この際、シュワちゃんはギャラを半分ぐらいにしないとダメじゃないかな。ギャラが高くなりすぎて、良い監督と組めなくなってしまっているから。タランティーノの作品に出て新境地を開くとか。早くしないとスタローンに先をこされるぞ。
ヤマネ
大統領選に出ればよかったんじゃないですか。選挙制度そのものがめちゃくちゃになってることですし。イーストウッドとトミー・リーとシュワの三つ巴かあ。興味ありますよ、僕。
BABA
…。シュワちゃんのつらいところは芸の幅が 2 次元ってことだな。その点ブルース・ウィリスなどは恵まれているね。髪型を変えるだけで、若返ったり、精神分析医になったり出来る。金髪にすればスナイパー。丸刈りにすればボクサー。
シュワは何をしてもシュワ。
ヤマネ
つまり、シュワちゃんとゴジラは似たもの同士ということですね。
BABA
いっそ二人の対決が見たいな。『ゴジラ VS シュワ』。
管理人
煮詰まってきたようなので、最後に何か一言。
BABA
正月映画を見尽くしてしまって、正月に見るものが無いのでつらいぞ。『初恋のきた道』でももう一度見に行きますか?
ヤマネ
イエーイ。
ヤマネ×BABA Original: 2000-Dec-26;

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