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Movie Review 2000・4月13日(THU.)

ボーン・コレクター

 ボンクラ感漂う演出なれど、そこそこおもしろかった『パトリオット・ゲーム』『今そこにある危機』などのフィリップ・ノイス監督作。ジェフリー・ディーヴァーの同名ミステリー小説の映画化(読んでません)。一見、『羊たちの沈黙』『セブン』などに連なる「サイコ・サスペンス」風であるが、残念なことに、お目当ての残酷描写など新味なく、キチガイも登場せず、ごく普通の、「本格」風味のミステリーである。

 ニューヨークで、奇妙な殺人事件が起こる。新米警官アンジョリーナ・ジョリーが駆けつけた現場には、犯人のメッセージらしきキラキラ光る砂、ボルト、古紙の切れ端が残されていたのだ。かつては、バリバリの「科学捜査」の権威、今は、捜査中の事故で全身マヒ、寝たきりのデンゼル・ワシントンが、A ・ジョリーンをコキ使いつつベッドで寝たまま推理する。「アームチェア・ディティクティブ」ってヤツですな。

 アメリカの刑事ってのは、汚職や自白強要、問答無用の射殺など、頭が悪い、タフでマッチョでアルコール中毒な人々、というイメージがあるが、実は、「科学捜査」を追及する潮流もあり、この物語はそこに着目、デンゼルはカラダは使わず「頭だけ」で勝負する。ホントは『羊たちの沈黙』のレクター博士みたく「頭の良さ」を発揮して欲しいところであるが、あんまり頭が良さそうに見えないのが難である。犯人がしかける謎に結構ムリがあり、デンゼルは超人的な記憶力で謎を解く。お前、なんでそんなこと憶えてんねん! とツッコミを入れたくなる感じで、「科学捜査」と言うより、物覚えがいいだけだと思うのだが。

「科学捜査」に対立する前近代的強面刑事の代表として、『ヘンリー』のマイケル・ルーカーが登場。最初から最後まで嫌な感じの馬鹿、という描き方である。M ・ルーカーはデンゼルの後を継いで刑事課長になったのだが、みんなデンゼルのことが好きなので、疎まれている。確かに出しゃばって捜査の邪魔をしたりするのだが、M ・ルーカー可哀想過ぎ! こういう「前近代的」刑事の完全否定は図式的過ぎる、と思う。デンゼルが、なんか人を小馬鹿にした印象で、ムカつくのだ。インテリ刑事死ね! M ・ルーカーがんばれ! って感じ。

 まあ、ベストセラー小説をソツなくまとめた、という印象で、詳しくは小説を買って読んでね、ってことなのだが、なんといっても新米警官を演じるアンジョリーナ・ジョリーがたいそうよろしい。『ミッション・インポシブル』などのジョン・ヴォイトの娘らしいが、なんというか、一挙一動に、いわゆるスターが持つ、画面を支配する魅力がある。彼女を見るだけで価値あり。オススメ。

BABA Original: 2000-Apr-13;

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