マン・ハント
ドイツ文化センターで、今フリッツ・ラングの特集をしている。私は、昔『飾り窓の女』を見たぐらいで、そんなに知識もないのだが、今回の特集はできるだけ見ようと、なぜだか思っている。
さて『マン・ハント』である。古い映画だし、ストーリーや、映画的手法において、何ら期待していたわけではないのですが、目から鱗だったのです。ワンカット、と言うかワンシーンひとつひとつのなんとスタイリッシュなことか! 一言格好いい! のです。そういえば、『飾り窓の女』もそうだった。監督自身が、無意識に思い浮かべる構図。いやひょっとしたら確信犯的なことかもしれないですが、それならば尚のこと、監督の執念にもにた意志というものが役者に乗り移って、臭くなる寸前で見事に決まってる!
格好いいことはなんて格好悪いんだろうと言う言葉もあるわけで、またパラドクスに陥ってしまいそうになるんですが、そういったことを飛び越えて、直に五感に訴えてくる快楽に身悶えしながらも思わず身を任せてしまうのでした。古くないんですよ、まったく。
それはやっぱり、みたいと思った映画を見たいときに見る、と言う何とも簡単でありそうに見えて実は劇的に奇跡に近いことの確認というか…。初めてみるものにとってそれが 50 年前の映画であろうとそれは新作であると言うことが確信を持って、今回理解できました。
かくいう私は実をいえばこの特集上映を主催している側のものであり、こういったことを書くのはいささか気が引けることであり、反面私の言葉に踊ってくれることがあれば素直に嬉しかったりもするのですが。でも、一言付け加えるとしたら踊るも、踊らされるも本人の自由なのだから確信を持って踊れ! といことです。自分たちの思いが伝わって、素直に喜んで貰えればこれ以上の喜びはない。ホントですよ。ぜひみにきてください。別に踊りながらこなくても、ゆっくり歩いてきてもらえばいいからね。ああ支離滅裂。
kawakita Original: 2000-Apr-07;