UMA レイクプラシッド
タイトルとか宣伝では「UMA」とか言ってるけど、馬じゃなくてワニです。いきなりネタをバラすようだが、アメリカ版ポスターでは堂々とワニが写っているから良かろう。
“U.M.A.”=“Unidentified Misterious Monster”――つまりネッシーとか、雪男とか、ツチノコのことらしいが、そのようなものは日本の配給会社宣伝部が勝手に持ち出しているだけで、映画の実態とは無関係である。そんなトンチキな概念を持ち出さざるを得ないほど「売り」がないのはわかるが、70 〜 80 年代ならともかく、それで客が呼べるとは思えんのだけど。
imdb でのジャンル分けはコメディ/ホラーになっている。人体真っ二つとか首が転がる、などショッキングなシーンがあるにはある。が、むしろコメディの要素の方が強く、アウトドアが苦手なニューヨーカー=ブリジット・フォンダ、レイクプラシッドの自然保護管=ビル・プルマン、金持ちのワニ好き=オリヴァー・プラット(『娼婦ヴェロニカ』など)、保安官=ブレンダン・グリーソン(『ブレイブハート』に出ていたらしい)の 4 人が、協力しあったり反発しあったりしてワニを捕まえんとすアドヴェンチャー、という趣である。
少し映画不リーク的にいうと、ちょっと笑かす巨大生物ホラーなれば、『トレマーズ』的であり、都会の女性と田舎者のロマンスってのはジョン・ヒューストン監督の『アフリカの女王』あたりをホウフツとさせないではない。「映画好き」みたいなこと書いてすんません。
監督はスティーブ・マイナー。『13 日の金曜日』シリーズの生みの親、ってところばかり強調されているが、『ミスター・ソウルマン』なる純然たるコメディも撮っているから、こういうほのぼのコメディは畑違いってわけではない。『13 日の金曜日』シリーズも、見方によってはコメディだし。
で、特筆すべきは編集のポール・ハーシュだ。『ファントム・オブ・パラダイス』など、多くのブライアン・デ・パルマ監督作や旧『スター・ウォーズ』シリーズで知られる名編集者である。思うに、最初に完成したときは、ダラダラっとした映画で、プロデューサーもこりゃつまらん! と頭を抱え、P ・ハーシュが新たに雇われて再編集にたずさわったのではなかろうか? P ・ハーシュらしい、話のつながりが悪くなってもお構いなしの、とりあえず退屈させないことを優先する編集になっている。上映時間も 82 分という短さだし。ちなみにクリスチャン・スレーター主演の『フラッド』ってのも、P ・ハーシュが救った、とおぼしき阿呆映画。憶測ですが。
とりあえず、エッ、これで終わり? ってくらいアッという間に映画が終わるし、一応、ブリジット・フォンダがぎゃーぎゃー騒いで可愛いし、ビル・プルマンは谷口ジローのマンガみたいな顔でニヤニヤしているだけだし、ワニはボンクラだし、ということでオススメ。日本での宣伝コピーは「見たら、最期!」…って、ヤケッパチですな。
BABA Original: 2000-Apr-06;