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Text by 小川顕太郎
2006年02月19日(Sun)

譲る
京都

 コータローくん来店。「でもなんですね。なんで女性の方々といふのは道を譲らないんでせうね」と言ふ。

 コータローくんの言ひたいのはかういふ事だ。京都の狭い道を、前から何人かのグループが横並びになつて歩いてくるとする。こちらからはコータローくん。このまま行けば確実にぶつかる。と、いふ時、相手のグループが男性なら、まづ確実にスウッと道が空く。ま、これはコータローくんの外見から、咄嗟の間に序列関係ができて(つまりなんかコータローくんが強さうに見えるので)、相手が道を譲るのだらうけど、これが相手が女性の場合、決して、微塵も、チリほども、譲る気配さへ見せないのだといふ。結果として、コータローくんが、大きな身体を捻るやうにして相手の間をすり抜けねばならないのだ。

「いや、別にボクが道を譲るのは構はないんですよ。大した事ぢやないし。ただ、相手がほんの少しでも、半歩でも横によけてくれれば、お互ひ気持ちよく通れるぢやないですか。なんで、それができないのかなァ」

「それは、そんな場合は絶対に相手が避けてくれる、と考へるからね女の人は」とトモコ。

「さうなんですか。…いや、こちらが避けるのは構はないんですよ。避けますから。ただ、その『あ、避けな』といふ気持ちだけでも示して貰へればいいんです、実際には避けなくても」

「それは無理よ。そんな気持ちないもの。無い袖は振れない、といふ事ね」

「やつぱ、さうなんやー」

「ぢや、半分だけ避けて、後の半分は相手が避けるやうにして、そして相手が避けなければ、そのままぶつかつてみたらどうですか。さうやつて、相手に避ける必要性を分からせてみる、とか」と、テラリー。

「なに言つてゐるのよ、テラリー! そんな事をしたら恐ろしいことになるわよ」と、トモコ。

「もう、全員からキイイイー! と睨みつけられるわよ。なに、こいつ、わざとぶつかつてきたんと違ふ、キショイ! …と、非難の嵐よ。なんで避けないのよ、自分勝手な奴! とか」

「そんな! どつちが自分勝手や!」

「それが女性の強さといふものよ。テラリーでは相手にならないわね」

 京都は道が狭いからねェ。

Comments

投稿者 夕香 : 2006年02月27日 05:41

こんにちわ。いつも楽しく日記を読んでいます。私、コータローさんの気持ちがわかるような気がします。今カナダに住んでいるんですけれど、同じようなことが多々起こって。私、女なんですけど、いつも私がよける羽目になるんですよね。最近気づいたんですけど、もしかしたら私が弱気なのが原因なのかも、と。で、ちょっと頑張って、”こんなことでは日本人の恥になる!絶対によけないぞ”と心に誓って、向こうから歩いてくるカナダの人たちに向かって、ぎりぎりまで避けずに近づいてみたんですけどね。143cmくらいでしたかね。やっぱり、だめでした。負けました。今度晴れた日にでも再度挑戦してみます。コータローさんも頑張ってくださいね。

投稿者 店主 : 2006年02月28日 00:08

夕香さん こんにちは

>もしかしたら私が弱気なのが原因なのかも、

いえ、それは夕香さんの繊細な神経と謙虚な気持ち+カナダ人の無神経と*****な気持ちが原因だと思ひます!

てな訳で、頑張つて下さい。

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