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 Diary 2005年3月15日(Tue.)

クリス・ロック

 ケヒッさんから送つて貰ひ、ババさんにビデオにおとして貰つたテレビ番組「第77回アカデミー賞授賞式」を観る。なんで「アカデミー賞授賞式」なんぞと言ふつまらないものを、こんなに大騒ぎまでして貸して貰つて観たのかと言ふと、もちろんそれはクリス・ロックが司会を務めたからである。

 私にとつてクリス・ロックとは、映画『CB4』であつた。この映画は、ギャングスタラップの世界をパロッたコメディーで、クリス・ロックは主役を演じてゐる。内容はソートー下らないが、イージーEをはじめ本物のギャングスタラッパーも出演してゐるし、『コンプトンからの一撃』をパロッたPVなど、やはりギャングスタラップファンは必見! の映画なのであつた。

 で、長い間、私にとつて“クリス・ロック=『CB4』で主演した黒人コメディアン”だつたのだけれど、昨年のMTVアワードを観た時に(このビデオはアイちやんに借りました)、司会をこのクリス・ロックが務めてゐて、そのあまりの毒舌振りに、えー! こんなこと言つて大丈夫なのー! と、唖然 & 抱腹絶倒して、トモコと共に「クリス・ロック凄い!」とえらく盛り上がつてしまつたのだ。こいつは相当面白い奴かもしれん。さうかふしてゐるうちに、なんと! アカデミー賞授賞式の司会をクリス・ロックが務める、といふ情報が入つてきた。ホンマかいな、と思つてゐたら、やはり反対意見も多いらしく、かなり揉めてゐるといふ。さらに「アカデミー賞授賞式の司会のオファーをうけてどうですか?」といふ質問を受けたクリス・ロックが、「あんな下らない番組、オカマ以外の黒人は絶対に観ないね。オカマはセレブのファッションチェックをするから観るだらうけど」と答へて大騒ぎになつてゐる、といふ続報も入つてきて、これはもし本当にクリス・ロックが司会を務めるのなら是非アカデミー賞授賞式を観たい! と、ババさんまで巻き込んで騒いでゐた所に、ケヒッさんが愛の手を差し伸べてくれた、といふ次第である。ありがたうございましたー。

 で、クリス・ロック。やはり素晴らしかつた。最初に「受賞者が何もしない賞ッて、アカデミー賞ぐらゐだらう? グラミーなら歌つたり踊つたりするぜ。せめて演技でもしろよ、シェイクスピアをやるとかさ。演技するのは受賞できなかつた奴ばかり。ハル・ベリーがオスカーを獲つた時のニコールキッドマンの笑顔!! あれを映画の中で出来てゐたら、オスカーは確実だつたのにな!」と、ぶちかましてくれたので、以後、受賞の発表のたびに落選者が満面の笑みを湛へて拍手をする様に爆笑することができた。アカデミー賞授賞式そのものは、とりあへず老人と黒人と故人に賞をやつておけ、といふ予想通りに無難な展開だつたので、よけいクリス・ロックが光つてをりました。なんとかもつとクリス・ロックの毒舌を観ることが出来ないもんだらうか。

小川顕太郎 Original: 2005-Mar-19;
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