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 Diary 2004・3月2日(TUE.)

ホモホモ 7

 昨日、あんまり店が暇だつたもので、となりの本屋に行つて漫然と本棚を眺めてゐた。マンガの棚を眺めながら、もうマンガを読むこともないだらうなァ、と勝手な感慨に耽つてゐると、『ホモホモ 7』 といふ文字が目に飛び込んできた。こ、これは、ズウッと探してゐた奴ではないか! 復刻してゐたとは知らなかつたー! と、早速購入。本日読了した。

『ホモホモ 7』とは、1970 年頃の少年マガジンに連載されてゐたマンガで、みなもと太郎の実質的デビュー作と言はれる作品である。みなもと太郎は傑作マンガ『風雲児たち』 の作者として夙に有名だが、あまり書店に作品が並んでゐない。『風雲児たち』でさへ、大きな書店に行かないと揃つてゐないことが多く、このマンガは歴史に残る大傑作だと信じて疑はない私は、一体どうなつてゐるんだと日頃からブーブー言つてゐる。みなもと太郎の他の作品も、目に触れるものは全て買つて来たが、かういふ作者だから昔のものは手に入れにくく、特にこの『ホモホモ 7』は、やたら高名なだけにいつかは読みたい! と前から念じてゐたのだが、別にマニア気質でもない私は特に行動を起こす訳でもなく、ただなんとなく僥倖を待つだけであつた。その僥倖が訪れたのだ! 私は喜びを噛みしめた。

 ところでこの復刻本は「ブッキング」といふ所から出てゐるのだが、聞いたことがないな、と思ひながら最後のページをみると、どうも「復刊ドットコム」を運営してゐる会社らしい。「復刊ドットコム」とは、ネット上で復刊して欲しい本を募り、その要望が一定数に達すると、出版社に交渉するなどなんなりして、その本を復刊する、といふものである。つまりこの本は、復刊ドットコムでの復刊の要望が大きく、故に復刊できたものではないのか。やはり私以外にも『ホモホモ 7』の復刊を望む人はたくさんゐたのだ、と、感慨に耽つたのでした。

 で、肝心の内容だが、期待に違はず、十分に楽しめるものであつた。劇画調とヘタウママンガ調の絵を混ぜて、パロディをふんだんに取り入れたギャグマンガなのだが、今でこそかういふマンガは珍しくもないだらうが、やはり当時としては革新的であつたのだらうと思ふ。中に込められてゐる闇雲なエネルギーが凄い。ファン必読! だらう。これは、愛蔵版にしよう。

 あらら、本を処分するつもりが、また買つてしまつた。…

小川顕太郎 Original: 2004-Mar-4;
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