韓流
POWERくん来店。「最近何が気に入らないかと言つて、韓流ブームですよ。あれは電通が仕掛けたもんでせう? そんなもんにみんな踊らされてゐるのが、なんかイヤで」と言ふ。
まあね、ここで一気に日韓交流を深めてやれ! といふ政治的な仕掛けは感じるよね。でも、まァ、私はそれでもいいんぢやないか、と思ふんだ。日韓が仲良くするのは良いことだよ。アジア人同士が仲良くすることは、アメリカのグローバリズムに対抗する必須条件でもあるしね。
「それはボクも同感です。ただ…問題はヨン様ですよ」
ああ、ヨン様。うーん、私は未だにちやんと見たことがないんだけど、どうなの?
「ハッキリ言つて、キモイです。が、なぜそこまで人気があるのか。この謎を解明すべく、最近BSで『冬のソナタ』をやつてゐるんですが、これを観ることにしたんです」
なるほど。敵陣に乗り込んだ訳だ。で?
「するとですねェ、これが……イイんですよ、ヨン様」
なに!
「なんか凄くいいやつで、友だちに欲しくなりました」
そ、それは、ドラマの役柄ぢやないの?
「違ひます。ヨン様の立ち居振る舞ひ、喋り方や表情など、なかなかのもんです。一緒に自転車に乗りたいなァと思ひました。」
…完全にのせられてゐるやん、POWERくんも。
「いや、違ふんです。実はボクの友人で、ヨン様のことをペ様と言つてゐる奴がゐるんです。それを聞いて、ボクはハタと膝を打つたんです。それまでのボクはヨン様のことを世間で流されるイメージにあてはめて一面的に見てゐたんぢやないか? もつとヨン様を多角的に見なければならない、と」
うーん、自分自身を多角的に見直した方がいいんぢやない?
「何を言つてゐるんですか! ケンタロウさんは『冬のソナタ』を見たことがあるんですか!」
もちろん、ない。
「そんな人に、ヨン様を語る資格はありません!!」
…すみません。
それでも、多分、『冬のソナタ』は見ないだらうなァ。
小川顕太郎 Original: 2004-Dec-27;