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 Diary 2004・12月20日(Mon.)

鼎談行はれる

 恒例となつてしまつた年末の映画鼎談が行はれた。今年は些かマンネリ化してきたのを打破しようと、オパール周りにゐる様々な人たちにも本年度のベスト10をきいてみる事にした。我々3人(ヤマネくん、ババさん、私)の偏り過ぎて無茶苦茶なベスト10に、多数の良識溢れる人たちのベスト10を対置させ、ただでさへ無意味と思はれてゐるであらうオパール映画ベスト10の、磨きがかかつてきた無意味さをさらに引き立てやうといふ趣向である。そんなに無意味なら止めれば良いのに、といふ声も聞こへない訳ではないが、無意味だからと言つて止めてしまつては、わざわざ無意味な事をやる意味がなくなつてしまう。それでは無意味な訳で、どうせ無意味ならその無意味さを際だたせた方がよいだらうといふのが我々の判断であつた。それはともかく、寄せられた他の人々のベスト10に目を通してみると…。

「ああー! ダメですよ、いま、それを言つたら! この鼎談をまとめるのはボクなんですからね、今ネタをばらしたら、ボクが困るぢやないですか!」

 ううーん、でもねヤマネくん、どうせいつも鼎談で喋つた事とは関係のない記事を捏造して載せてゐる訳だから、別にいいんぢやない?

「それでもダメですよォー。なにかそこからネタを拾へるかもしれないぢやないですか。そんな事より、店主の日記の方が法螺だらけの捏造日記なんだから、そつちで適当なこと書いておいて下さいよ」

 そんな、人を『ビッグ・フィッシュ』のオヤジみたいに…。ま、確かにアレに近いんだけどね、私の日記は。でもどうもそのまま私の日記を鵜呑みにする人も結構ゐるみたいで、色々とややこしいんだよ。

「さうなんですか? たとへば?」

 うーん、たとへば…オイシンの事を本当に実在すると思つてゐる人が、結構ゐるみたいなんだ。

「ええー! ホントですかー! あんなバカ、本当にゐる訳ないぢやないですか。それは人類といふ存在に対する冒涜ですよ!」

 まあねェ、私もここまでアホに描けば、いくらなんでも虚構の人物だと分かると思つてゐるんだけど。

「ほら、今日もここに、オイシンが選んだ映画ベスト10、といふ原稿があるんですが、それを見ると、今年オパールで話題になつた映画を適当に並べただけの代物で、これを見ても、オイシンといふ存在は、オパールが創り上げた、それもかなり手を抜いていい加減に創り上げたものだといふ事は分かると思ふんですけどねー。ところでケンタロウさん」

 ん?

「さつきからこの日記、ボクとケンタロウさんしか出てきてませんけど、そんな事ではこの鼎談、実は対談だといふ事がばれてしまふんぢやないですか」

 さうか、さう言へば、ババさんの存在を信じてゐる人も多いんだつた。サラリーマンで年間200本以上も映画館で映画を観て、マンガも本も大量に読んで、クラブ通い & カフェ通いしたうへに自転車にも乗りまくつてゐる、なんて人間が存在する訳ないことぐらゐ、分かりさうなもんだけど。

「ふふふ…実はボクも…」

 あ! 消えた! …‥結局、私ひとりか。虚しいなァ。

小川顕太郎 Original: 2004-Dec-22;