ハッシーへの課題
ハッシー & マツヤマさん来店。ハッシーは今年の半ばに、映画を見よう! と思ひ立ち、それから半年間で私の与へた課題映画150本をほぼ見尽くして、残り5本ほどとなつたのだが、未だ映画館には一人で行つた事がない。古典映画をビデオやDVDで見るのもいいけれど、やはり映画は映画館で観られるのなら、その方がよい。だから映画館にも行けよ、とみんなに散々言はれてゐるのだが、「ま、ま、それはまた来年に。いや、行けますよ、ひとりで映画ぐらゐ、行けます、行けます。だからその話は来年に」と、ハッシーはかはし続けてゐる。それなら来年は劇場で映画を150本観ること、これが課題だな、と詰め寄れば、「そんな、一年間に150本も面白い映画、劇場でやつてゐますか?」などとさらに話を逸らさうとする。しかし、さういふ言ひ訳はもうきかん。大体おもしろい映画だけを見よう、などといふ了見がいけない。面白いものも下らないものも、玉石混交で色々見てみて、初めて映画の良さが分かるやうになるのだ。だからとにかく闇雲に手当たり次第に映画館に通ふこと。これが来年のハッシーの課題だ! ババーン!
ババさん来店。「いやー、『バッド サンタ』おもしろかつたよ、ハッシーも見に行つたら」
「あ、ボク、今年は映画館に行かないんです。来年からです、来年」
「なんで? 別に今すぐに行つたらいいやん。終はつてしまふよ、『バッド サンタ』」
「あー、今年はまだ5本観なければならない映画が残つてゐるんで、ダメなんです」
「なんでや、ビデオやDVDは逃げへんやん。劇場では、見逃したら最後やで。それとも見たくないんか『バッド サンタ』」
「いやー、そのー、ババさん、『バッド サンタ』お気に入りですねー」
「気に入つてゐるから薦めてゐるんやん、ちなみに弥生座で客はボクを含めて3人! でもそのうちの3分の1は大爆笑で受けまくつてゐたわ。もちろんボクやけど」
「ババさんの事をこれから『バド サン』と呼ぶやうにしよう。『バッド さん』とか」と、マツヤマさん。
「あー! 今みたいな返しがやつてみたいんですわー!」とハッシーが叫ぶ。うむ、それには、映画館に通ふことだな。
といふ訳で、来年のハッシーの課題が決まりました。
小川顕太郎 Original: 2004-Dec-21;