Diary 2003・7月29日(TUE.)
気を遣ふ
ハシモトくん来店。ハシモトくんの特徴は、その野性味溢れる外見に反して、気を遣ひ過ぎる、といふことにある。それが、しばしば事態をややこしくしたりする。たとへば、オパールのカウンターでマツヤマさんと喋つてゐる時に、私の話が出たとする。私はカウンター越しにその話を聞いてゐるのだが、その私の目の前で、「オガワさんは、どう考へてゐるんでせうかね」「オガワさんも知つてゐるんですか」「オガワさんはよく行かれるんですか」などと、マツヤマさんに喋り続ける。マツヤマさんは「そんなもの、知らないよ!本人が目の前にゐるんだから、本人にきけよ!」と答へることになる。当然だらう。それに対してハシモトくんは「でも、そんなん、寂しないですか」と言ふのだが、ハシモトくんの考へでは、今までマツヤマさんと喋つてゐたのに、急に私と喋つてマツヤマさんを取り残す形になると、マツヤマさんが寂しい思ひをするのではないか、となるやうなのだ。「そんなことしたら、オガワさんが寂しいだろ!」とマツヤマさん。その通りである。
本日のハシモトくんとマツヤマさんの会話。
「では、オヤッさん。今から、ボク、トイレに行つてきますんで」
「勝手に行けよ!いちいちそんなもん断るな!」
「え、でも寂しないですか、いきなりボクが消えたら」
「寂しくないよ!だいたい、消えるつて、店に居るんだから、トイレに行くんだなつて、分かるよ!」
「さうですか、でも、分からないですよ」
「いいよ!別に、どこにでも勝手に消えろよ!」
「うわ、寂しい…」
ううむ、二人の息がピッタリ合つてゐる感ぢだ。
二人は仲良く、オパールを出てゲーセンに行つてしまいました。
小川顕太郎 Original:2003-Jul-31;