Diary 2003・7月28日(MON.)
絶対に違ふ
会話をしてゐる時に、これは絶対に相手が間違つたことを言つてゐるな、と分かる時がある。先日もハシモトくんが、「ほら、あれ、何でしたつけ? 日本の絵で、女の人で、教科書とかに載つてゐる有名なやつ」と言ふので、横にゐたマツヤマさんが「見返り美人のことか」と答へると、「あ、さうさう! さうです! それです」とハシモトくんは言つたのだが、それを聞いて、絶対に違ふ、と確信した。で、先に話を進めたがるハシモトくんを制して、色々と聞きただすと、案の定、ハシモトくんが言ひたいのは、岸田劉生の『麗子像』であつた。
同じ様なことが、タカハシくんとの会話でもよくある。この間、タカハシくんに「カミカゼ」について説明してゐる時、話が当然のことながら、「元寇」のことに及んだ。
で、「元寇」は知つてゐるか? と尋ねてみる。
「知つてゐます。…」
私はタカハシくんの表情を見て、これは絶対に違ふものを頭に浮かべてゐる、と確信した。で、突つ込んでみると、果たして、「原稿」を頭に思ひ浮かべてゐた。やはり。また、高村光太郎について説明してゐる時に、教科書にも載つてゐる(載つてゐた?)彼の有名な詩『道程』のことに話が及んだ。ところでタカハシくん、『道程』は知つてゐる?
「知つてゐます。でも…」
絶対に違ふものを、頭に思ひ浮かべてゐるだらう! 私は、敢へてこの時ばかりは何も訊かず、紙に「道程」と書いて渡した。それを見て、タカハシくんは、妙に恥ずかしさうであつた。
本日は**新聞の取材があつた。とはいへ、店の取材ではなかつたので、オパール的にはあまり意味がないのですが。
小川顕太郎 Original:2003-Jul-29;