en-Taxi
雑誌「en-Taxi」2 号を流し読む。この雑誌は、柳美里、福田和也、坪内祐三、リリー・フランキーの 4 人が責任編集をしてゐる話題の雑誌だが、私はこの編集陣を見て些かうんざりし、興味が持てなかつた。「超世代文芸クオリティマガジン」と銘打つてゐるのも、なんだかなあといふ感ぢで、可能から話を聞いてゐたにも関はらず、創刊号は読まなかつた。が、この 2 号は、可能がわざわざくれたので、せつかくだし、と読んでみたのであつた。
読んでみると、なかなか面白いのが小憎らしい。まだ 3 分の 1 ぐらゐしか目を通してゐないのだが、その中では、亀和田武の「憂鬱なポルノ」といふ文章が良かつた。亀和田武と言へば、私は 2000 年 8 月 23 日の日記で言及したことがある。その時は、カメワダタケシとは聞いたことのある名前だがどんな人だつたか思ひ出せない、といふ言及の仕方だつたのだけれど、実はそのちよいと後に、カメワダタケシがどのやうな人であつたかを思ひ出した。彼は、アリス出版の人であつたのだ。
アリス出版は、いはゆる自販機本の世界に君臨してゐた、ポルノ出版社である。だからこの「憂鬱なポルノ」といふ文章は、自らのゐたポルノ業界のことと、米ポルノ業界の帝王ラリー・フリントについての想ひをからめて書いてある。これが、面白い。私は、いはゆるエロ本といふのはあまり読まないし、詳しくないのだけれど、ポルノ業界についての話は、面白いので結構読んでゐたりする。と言つても、亀和田武、ときいて、誰だつたつけ? 聞いたことあるけど、と悩む程度にしか知らないのだけれど。さういへば、このアリス出版と並んで業界の 2 巨頭のひとつだつたのがエルシー企画。そこにゐた高杉弾の書いた「霊的衝動」といふ本も面白かつた。これも、ポルノ業界について書いた本。その他にも、天野哲夫が SM 雑誌に書き散らしてゐた話とか。……あれ? 何が言ひたかつたんだつけ?
…思ひ出せない。…まあ、いいか。あ、ちなみに、この雑誌には、可能も書いてゐます。まあ、今日はさういふことで。
小川顕太郎 Original:2003-Jul-10;