京都三条 カフェ・オパール Cafe Opal:Home

Home > Diary > 03 > 0710
 Diary 2003・7月10日(THU.)

文物

 テラダさん宅を訪問。着くなりテラダさんから「さあ、何から行こか!」と言はれ、何からって…書? 篆刻? 画? と狼狽へてゐたら、「まづは、やはりこれか」と、ビールを出してきた。なんだ、お酒の話だつたのか。私も、持参したワインや日本酒を机の上に並べる。で、乾杯。

「さあ、ぢや、篆書やな」。え? 篆書ですか? と、戸惑ひつつ、私は渡された筆を右手に、ビールグラスを左手に持つて、篆書を書き始めた。

「うーん、オガワくんなあ、終筆があかんわ、払つてしまつてゐる。始筆も打ち込み気味やなあ…、途中も、筆管が曲がつてゐるんとちやうか。まあ、この 3 点を直せば、ちよつとは良くなるよ」

 なるほど。最初と、途中と、最後さへ直したらいいんですね。…って、それ、全部直さないとダメぢやないですか。

「ほれ、これは龍門や。本物の拓本やで」あ! 凄いなあ。この隣は、…呉昌碩? こちらは梅先生に、小先生…いいなあ、これ、幾らぐらゐするんですか? …はあ、やはり、そんなもんですか…あれ? これは石川九楊ぢやないですか…。さうかうしてゐるうちにテンコさんが帰つてきて、晩酌タイムとなる。

 テラダさんと、テンコさんが作つた料理が次々と卓上に並べられていく。その合間に、様々な石材、玉、硯、印譜、なども差し出される。私はそれらを眺め、食べ、撫でさすり、飲み、鼻に擦りつけたりしながら、お二人の会話に相槌を打つ。

「文物にはまるのは、ある意味、クスリにはまるより質が悪いらしいよ」

 うーん、なるほどねえ。

「若い頃は、***の人たちと一緒に、よく**して、小遣ひを稼いだけどな」

 うーむ、それは、書けないなあ。

「とにかく、ボコボコにする」

 むーん。

 などと話してゐるうちに夜中の 3 時。長居をし過ぎましたか。どうも、時間の経つのが早いやうな。またの再訪を約してそこを辞す。ちなみに、本日トモコはワリイシさんの個展を見に、大阪まで行つてゐたので、私ひとりでの訪問となつたが、また二人で来ます。

 田黄、欲しいなあ。

小川顕太郎 Original:2003-Jul-12;