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 Diary 2002・2月7日(THU.)

聖徳太子展

 大阪市立美術館にて開催中の「聖徳太子展」に行く。私は朝から熱があるようで、頭痛と悪寒がしていたのだけれど、なぜかこの「聖徳太子展」にトモコを連れて行くのは既定の事実であり、成し遂げねばならない、という強迫観念に責められて、無理矢理に行ったのであった。

 いささか朦朧とした頭で天王寺の地に立つ。うん、懐かしい。天王寺に来るのなんて、どれぐらいぶりだろうか。なんか、とてもいい感じだ。やはり天王寺はいい街だ。ちょっと気分を良くして、美術館へ。

 天王寺公園内はそうでもなかったが、美術館の中は人で溢れていて、少々驚く。年輩の方が多く、聖徳太子の像を前に「ええ顔してますなあ」と嘆声を漏らしている。いまだ太子信仰というのは厚いのだろうか、と一種の感慨を抱いたのだが、トモコがはしゃいだごとく、確かに童形から成年期にいたるまでの様々な太子像が乱立する様は圧巻だった。

 玉虫厨子や七星剣、有名な「日出処の天子…」という国書が記されている隋書や、17 条の憲法の版木、様々な太子の伝歴や絵伝、などなどなど。さすがに疲れも重なったのか、見終わる頃には足下もふらつきはじめ、ソファに腰を下ろして放心する。隣に座ったお爺さんが、ずっと低い声で「与作」を歌っている。…よさあーくー、よーさあーくー…放心…よさあーくー、よーさあーくー……放心……よさあーくー、よーさあーくー……は! こ、ここはどこだ?

 そこは、全館バーゲン中の近鉄百貨店の中であった。「バーゲン」や「最終値下げ!」という札が至るところに貼ってあり、多数の女の子達が蠢いている。その中にトモコの姿をかすかに認めながら、私の意識はまた遠ざかっていったのであった…。

小川顕太郎 Original:2002-Feb-8;