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 Diary 2001・1月31日(WED.)

BROTHER

 朝日シネマに北野武監督『BROTHER』を観に行く。すでに賛否両論を呼んでいる映画、というより、否定の声の方が高い映画だが、たけしの映画はいつも評判が悪いので、気にせず観に行く。久御山で観たヤマネくんが、「場内ガラガラでしたよ」と言っていたので、安心して時間ギリギリに行くと、なんと満員。立ち見まで出ている。慌てて場内を見渡し、最前列の一番端があいていたのを見つけ、なんとか座って観ることができた。

 ただでさえ朝日シネマと場所が悪いのに、最前列の一番端。こんなんでちゃんと映画が観られるのか、と思ったが、そのような懸念は映画が始まり、傾いていた画面がまっすぐになってしばらくすると、ぶっとんでいた。強烈に面白かった。

 そりゃ確かに後半部分は杜撰だったし、いたいシーンも何ケ所かあったが、そんなことは全く気にならないほど、とにかく面白い、かっこいい、クール、グレイト、最高!!! 私は断然この映画を支持するね。観ていて久しぶりに震えがきた。

 指つめ、ハラキリ、刺青、ヤクザの襲名儀式、といった道具立ては、海の向こうを意識したオリエンタリズムとみなされるかもしれない。そしてそれは確かにそうなのだが、そのありようは、『HANA-BI』におけるそれのような、相手に媚びる嫌らしさとは全く違う。伝統を対象化してアイテムとして捉えなおし、自らを飾り立て、闘いに向かうものとしてのそれなのだ。

 それは黒人が、ゴールドで全身を飾ったり、フロウして身ぶりを交えて喋ったり、ドレッド・ロックの髪型にしたりするのと同じなのだ。この映画は、日本の仁侠社会での「兄弟」と、黒人社会での「BROTHER」が、等号で結ばれる奇跡的な映画だ。いままで誰もこんな映画は撮れなかったのではないか?

 寺島進はあいかわらずかっこいいが、今回は加藤雅也のかっこよさに吃驚した。とにかく全身から凶暴な危なさを発散させていて、凄い。オマー・エプスも、最後ちょっと危なくなりかかった映画の行方を(たけしのラストシーンはさすがの私も頭を押さえかけた)、しっかり救って好演。とにかくみんな観ろ! 観てくれ! 観たほうがいいと思うんですけどお。ね。私はできるならもう一回観たい。

 はやくも本年度のベスト 1 が決定した。

>> Movie Review『BROTHER』と『愛のコリーダ 2000』

小川顕太郎 Original:2001-Feb-2;