赤軍
文藝別冊の『総特集・赤軍 RED ARMY 1969―2001』を読む。まだ最初の部分、重信房子の著書から抜いた文章のアンソロジーを読んだだけだが、これが凄く面白い。私は重信房子の著書など読んだことがなかったが、こんなに面白かったとは。ではどういう所が面白かったのか。それは、赤軍といえばなんだか遠い存在で、自分達とは全く関係がないようなイメージがあったのだが、それがそうでもない、こんな奴らいるよなあ、ってな感じでかなりイメージが鮮明になったところだ。
例えば、重信房子達は国際根拠地論に拠ってパレスチナの人民達と連帯すべく、ベイルートに飛んだ訳だが、実はまったく言葉ができず、向こうについてから必死になって言葉の勉強をしているところだ。それとか、国際主義を唱えていたとはいえ、向こうに行けば当然アジア人として扱われる訳で、向こうの人々から色々とアジアの情勢・歴史・文化・政治制度などを尋ねられる。それに対して十分な返答ができず、自らの無知に愕然とし、慌てて日本から本を取り寄せて勉強をしたりしている。この情けなさは、よく知っている。馴染みのものだ
また、日本から送られてきた党派の新聞やパンフレットを、訳してくれとせがまれて、その言葉だけ勇ましくて内容空疎な文章を嫌々訳すと、みなに一様に呆れられ、日本の左翼は子供っぽい、とバカにされたりしている。ううむ、やはり昔からそうだったのか!
あと、重信房子のお父さんが血盟団だった、という事実には吃驚した。重信房子の筆を通してみる民族主義者のお父さんは、非常に好感が持てる。「家族と話をするのは家族帝国主義との妥協である」「家族と縁を切る」という同志達の戯言を、この父があったが故に退けた重信房子にも好感を持った。
そういえば昨年末に、冗談半分にナショナリスト宣言をした私だが、ナショナリストといいながら、自分の住んで居る所の歴史・文化・政治などについて、ちゃんと説明できるかといえば、絶対できない自信がある。あかんやん。そこで、前々から読もうと思っていたが、ずるずる延ばしにしてきた平泉澄『物語日本史』上・中・下(講談社学術文庫)を、さっそくアマゾンで注文する。さあ、勉強勉強!
小川顕太郎 Original:2001-Feb-13;