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 Diary 2000・9月16日(SAT.)

おじさんのかさ

 自分マニアで記録魔のベッチが、小学校の教科書から使っていたノートまで全て保管しているのは(友人達の間で)有名な話だが、今日はその教科書やノートをオパールに持ってきていた。ベッチは最近『百万回生きたねこ』とかいう絵本にいたく感動し、購入したのだが、その作者である佐野洋子が、確か小学一年生の教科書に『おじさんのかさ』というこれまたお気に入りの作品を書いていたはず、と思いだし、探し出してオパールに持ってきたのだ。

 この『おじさんのかさ』という作品は、お気に入りの傘を濡らしたくなくて、雨が降っても傘をささないおじさんの話だ。読んでみる。が、全く覚えがない。多分違う教科書を使っていたんだろうけど、そもそも私は自分が使っていた教科書の記憶なんてこれっぽちもない。それどころか、学校に行っていた記憶も曖昧だ。私は本当に学校に通っていたのだろうか?

 またベッチは『ウータン』という学研の出していた科学雑誌も持ってきていたが、この頃のベッチは科学に対して明るい希望と憧れを持っていたそうだ。私はベッチより 5 歳ほど年上だが、幼い頃から一度たりと科学に対して憧れも希望も持ったことがない。私が物心ついた 70 年代初頭には、すでに公害公害と言われていたし。いや、まあ本当はそんなことよりも、もともと科学的な事に食指が動かない人間だったのだろう。妖怪や地獄の存在はしっかり信じていた。

 クラタニくん来店。この間のフットサルは高熱を出して倒れて欠席だったが、その事に一番驚いたのはクラタニくん自身だったそうだ。クラタニくんは、ほとんど風邪などひいた事がなく、熱を出した記憶などないそうで、体温計で計ってみて熱がある事を確認するまでは、猛烈な寒気と頭痛がしていたにも関わらず、自分が熱を出しているという事態を信じられなかったそうだ。

「もう、すっかりなおりました」

 というクラタニくんの目の周りは真っ黒。大丈夫か。

小川顕太郎 Original:2000-Sep-17;