Diary 2000・6月8日(THU.)
ひなぎく
ビデオでヴェラ・ヒティロヴァ監督の『ひなぎく』を観る。それからトモコと一緒に近くの居酒屋に行く。せっかくだからクラタニくんでも誘おうかと電話をしたが、「ただいま電話に出られません…。」とつながらない。それで二人だけで出かける。
居酒屋で焼酎をボトルで注文し、先程みた『ひなぎく』についてトモコと語る。トモコは言う。「あれは『アオイコイビトタチノトキ』ね」。ああ、クロード・ルルーシュの映画。トモコのフェイバリットムービーだったな、と焼酎を傾けながら私は考える。確かにあのアバンギャルドぐあいとかは似ているか。時代も同じ様なものなのかな。
「ある種の女の子は凄く感情移入して観てしまうでしょうね。私とか。」なるほど、感情移入ですか。アバンギャルド映画に感情移入とは何だか凄いが、ある種の女の子の心理はアバンギャルドなのだろう、トモコとか。
「自堕落で決して恋愛をしたりしないのが純粋少女というものなの。」ほう、少女というものは常に恋をしているものかと思っていたんですが。
「それは一緒でしょう。純粋少女は恋に恋するわけだから。相手なんかどうでもいいの。」うん、納得納得。でも自堕落で決して恋をしない純粋少女に感情移入する人と結婚して一緒に生活している私とは一体なんなのか。焼酎で朦朧とした頭で考える。いや、考えられない。
降り出した雨の中を千鳥足で帰り、家につくと留守電が入っていた。
「クラタニです。ちょっと彼女が来ていて電話とれませんでした。また電話します。」そのまま床に転がって寝る。
小川顕太郎 Original:2000-Jun-9;