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 Diary 2000・6月6日(TUE.)

ナインスゲイト

 映画の日だったので、ポランスキーの新作『ナインスゲイト』を観に行く。これは世界に 3 冊しか現存しないと言われるオカルト書『影の王国への九つの扉』アリスティデ・トルキア著を巡る話である。

 半ばネタばれになるが書いてしまうと、この 3 冊はほんの少しずつ違いがあり、3 冊が揃ってはじめて完璧になる、まあ悪魔を呼び出す事ができるという訳である。この 3 冊のオカルト書を巡って、オカルト本のコレクターや悪魔主義者、ジョニーデップ演じる書物狩猟家などが入り乱れててんやわんや、という映画なのだが、私はこの映画を観ながら他の事を思い浮かべていた。

 世界に 3 冊しか現存しないオカルト本…‥世界に 3 枚しかないノーザンソウル 7 インチ『DO I LOVE YOU』フランク・ウィルソン(SOUL 盤)!!! この 3 枚は実はちょっとずつ微妙に違っていて、3 枚同時にかければ究極のノーザンソウルが現れる…そしてソウルの神が降臨する。我々は全身でソウルを受けとめる。私には映画でサタニスト達が集まって悪魔集会を行っている古城の広間が、まるでウィガンカジノのようにみえた。

「きっとそのノーザンソウルの神はビール腹でダサイ格好をしているんでしょうねえ」とクラタニくん。「でもダンスは凄い、と」。どうやらクラタニくんの頭にあるノーザンソウルとは、ダサくて親父臭いもののようだ。でもダンスは凄い、と。

 ところでそのクラタニくんだが、ただ今幸せの絶頂にいる。念願の就職が決まり、そのうえ彼女まで出来たのだ。「VISA カードもとれましたしねえ」と口元を弛めるクラタニくん。そこにクラタニくんの携帯電話に彼女からメールが。「お!」とか言いながら、とろけそうな顔をしてメールを打ち返すクラタニくん。「まるで高校生みたいや」とか言いながらも幸せそうである。この幸せが少しでも長く続くことを祈る。

 アンニュイ写真家のイチカワさんが来店。大阪で撮影があり、その帰りという事だが、撮影道具というのはとにかく重い。そしてイチカワさんは非力を絵にしたみたいな人だ。もうボロボロになっての来店である。なぜ写真家なのだろうか。背の低いバスケットボール選手のように不利だと思う。しかし、道具が重いからといって写真を止めるようでは写真家とはいえないだろうから、別に関係ないか。イチカワさんにも幸あれ、と祈る。

小川顕太郎 Original:2000-Jun-8;