ダイエット
現代の日本では、ダイエットと言えば痩せることを指すのだろうが、もともとの意味は規定食というもので、要するに食事制限を設けることだ。そして、私はこの意味でのダイエットは非常に大事なものだと考えており、日頃から実践もしている。
よく「何でも満遍なく食べるのがいい」とか言う人がいるが、ちょっと考えればこのセリフはナンセンスだと分かる。「満遍なく」というが、この世にどれだけの種類の食べ物があるのか、そして自分達はその内のどれだけを手に入れる事が出来るのかを考えてみればよい。こういった事を言う人の食事内容を、例えば 1 週間でもいいからメモにとると、いかに偏った食事をしているかが分かるだろう。
「満遍なく」というのは、「バランスよく」といった意味合いを含んでいるのだろうが、そもそもどういった状態が「バランスがいい」と判断するかが難しいのだ。その判断には食事に対する深い理解がいる。例えば、大抵の人は「バランスのいい食事」と言えば「野菜をとること」と思いがちだろうが、どのような野菜をとるのかというのも問題なのだ。
この間オイシンと喋っていて吃驚したのだが、小さい頃からほとんど野菜を食べずに育ってきたオイシンの、それでも主食となる野菜は「ほうれん草」と「キャベツ」だというのだ。ここで何故私が吃驚したかが分かった人は、それなりに食に詳しい人だ。「ほうれん草」と「キャベツ」というのは、安くて栄養も豊富な野菜というので有名だが、一方ではあまり身体によくないのではないか、とも言われている野菜なのだ。害虫がつきにくい野菜なのだそうで、害虫がつきにくいというのは要するに身体に対する刺激も強いということ。だから食べ過ぎは禁物、という意見が根強くある。
勿論この意見がどれだけ正しいかは分からないが、こういう意見もあるのだとすれば、わざわざ「ほうれん草」と「キャベツ」を主食にする事はないだろう。他にも野菜はたくさんあるのだし。それに安価なものだから、外食をするとこの野菜を使っている割合が非常に高い。だからわざわざ家で作る食事にまで使う必要はないと、私は買わないようにしている。
またオイシンは実家を出て京都に一人暮らしをするようになってからは、主にコンビニの弁当を食べて暮らしてきたという。コンビニの弁当! 保存料の固まりではないか。知人でコンビニの弁当を作るバイトをしていた人によると、なんとお米を防腐剤の大量に入った水で炊くそうだ。かなり気分が悪くなるバイトだそうで、すぐに辞めたらしいが。それにしてもオイシン、大丈夫か。
誤解されると嫌なのでことわっておくと、私は何も理想の食生活があると言っているのではない。そのようなものはない。ある理想をたてて、そこから現実を裁断していく「疎外論的発想」は私の最も憎むものだ。こういった「疎外論的発想」とも、「何でも満遍なく食べればいい」といった思考停止とも闘う、「思想としてのダイエット」。ううん、アイスクリームを食べながら書くような事ではないか。
小川顕太郎 Original:2000-Jul-6;