Diary 2000・8月31日(THU.)
明日に向かって撃て!
みなみ会館に 70 年代映画特集の第一弾『明日に向かって撃て!』(ジョージ・ロイ・ヒル/1969)を観に行く。どこが面白いのやら全く分からない映画だった。
ポール・ニューマン演ずるブッチ・キャシディと、ロバート・レッドフォード演ずるサンダンス・キッドという二人の列車・銀行強盗のならず者を描いた作品だが、この二人が全くならず者っぽくない。私の受けた印象でいうと、戦後民主主義を奉じている学校教師、といったあたりがぴったりくる。要するにちっとも魅力的でないのだ。
バカラックの『雨に濡れても』が流れる、映画史上に残る名場面といわれる自転車のシーンも、「だ、ださい‥」と思わずにはいられない。最近は復権著しいバカラックだが、復権する前の「ダサイ」バカラックのイメージはここらあたりから来ているのだなあ、と確認する。
とにかく全体に流れる雰囲気が、同じメンツで撮った『スティング』と同じで、意地悪く言うなら「偽善的」だ。『スティング』は子供の頃に観て、名作らしいけれどなんか気色悪い、と思った覚えがある。要するにこういった「偽善的」なるものに、私はずっと抗い続けてきたのだと思う。物わかりのよい教師・大人ども。オレ達は悪も無法もよく分かっているよ、なんといってもオレ達は反権力だからな…とぬかす左翼、というか「リベラル」ども。こういった連中に対する抜きがたい嫌悪が、私を大学時代に「右翼的なるもの」に誘ったのかもしれない。
ともあれ、自分の姿勢を再確認させてくれたという意味で、有意義な映画体験だった。
小川顕太郎 Original:2000-Aug-2;