Movie Review 1999・11月27日(SAT.)
皆月
花村萬月原作、三村晴彦脚本、望月六郎監督による傑作。
さえないパソコンおたくのサラリーマン奥田瑛二が家に帰ってみると、荻野目慶子の妻は「みんな月でした。もうガマンの限界です」との書き置きを残して失踪。奥田瑛二は妻の弟、北村一輝とともに妻探しを始めるんだが、弟ってのがヤクザで、暴力とセックスの世界を地獄巡り、となる。
さらにソープランド嬢の吉本多香美もからんで、物語は迷走を続け、中年のオッサン、若いソープ嬢、キチガイヤクザのロードムーヴィーと化す。
エンディングに流れる山崎ハコなど音楽が少々甘い気がするが、職場と自宅の往復、趣味なし、「妻に与えたのは、給料と、ピストン運動と少しばかりの精液」のみだった中年男の奇妙な成長物語としては、こんなもんかな? と思う。
「大人のためのファンタジー」…すなわち単なる中年男の妄想の物語だったりするが、それにとどまっていない最大の功績は、北村一輝演じるヤクザのヴァイオレンス演技にある。眉毛ひとつ動かさずうっかり人を殺し、女を犯す。一方でどういうわけか義兄の奥田瑛二の世話を色々焼く。ヤクザの二面性(って言っても、ボクも良く知りはしないんですが)を見事に表現。
花村萬月の小説は読んだことがないんだけど、崔洋一、高橋伴明らが他の小説の映画化に動いているとのこと。要チェックかも?