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Movie Review 1999・11月24日(WED.)

ディープエンド・オブ・
 オーシャン

 この映画の日本での宣伝文句はネタばれしているのでご注意。やっぱりアメリカ版の“ The search for her son was over. The seach for her family was just beginning. ”――「彼女の息子捜しは終わり、家族捜しが今、始まる」…これくらいにしとかなきゃダメだと思うぜ。

 ということなので、見に行こうと思う人はポスター、チラシなどを見てはいけません。この映画のサイトも宣伝コピーがデーンと載ってるのでリンクはりません…って、どうやって見に行く気になれというのか? 困ったものです。

 さらに題名もよくわからぬ。『ディープエンド・オブ・オーシャン』――「海のさいはて」って何? ポスターには少年が海に向かって走る写真が使われているが、そんな場面なかったぞ。パンフの監督の弁によると「題名は、この物語のもうひとつの感動的な側面を言いあてている。つまり、出生にまでさかのぼって自分の残した痕跡、過去に残してきた痕跡を見つけようとする、あの子供の姿だ」(※)…なんだかよくわかりませんよね。全米ベストセラーってことでアメリカでは一定の興行価値があるんだろうが、日本での打ち出しはむずかしいだろう。よって上述のように宣伝文句もトンチキなものになる。ここはひとつ、『DEOO ――ミシェル・ファイファーのファミリー・ゲット大作戦』という日本語題名で公開するのがいい、と思うのだがどうだろう。タイトルは楽しそうなコメディ調でも中身はエライ深刻な映画ってのは結構あるので。ダメ? ってもう遅いっちゅうねん。

 と、どうでもいい話はおいといて。M ・ファイファーが原作に惚れ込んで自身のプロダクションで製作、主演。うーむ、この話なら原作がアメリカでウケるのもムベなるかな。とある事情で破壊された家族は、果たして再生できるのか? を描く。って書くといかにもつまんなそうなんだけど、例えばウッカリ財布をどこかに置き忘れてきてしまった、というような経験を持つ人は、思わずストーリーに引きずり込まれるであろう。「ウッカリ」をしてしまった M ・ファイファーの気合いの入った演技に一喜一憂することウケアイだ。

 前半、家族が破壊されていく様が丁寧に描かれ、スリリングである。後半はエルマー・バーンスタインのオーソドックスな音楽とも相まって往年のハリウッド家族映画をホウフツとさせる展開。これはこれで良い。

 ウーピー・ゴールドバーグ演じる女刑事の人物造形や、M ・ファイファーの自立指向など、いろいろ現代的であるが演出はいたって正攻法であり、ソープ・オペラすれすれである。ボクの場合はキャットウーマンこと M ・ファイファーに大いに好感を持っているのでオッケーだったのだが、さてみなさんはいかがでしょうか。って見に行かないか。

(※発行:東宝(株)出版・商品事業部『ディープエンド・オブ・オーシャン』パンフレットより引用)

BABA
Original: 1999-Nov-24;

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