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Movie Review 1999・8月10日(TUE.)

パラサイト

 さあ、キミも友だちをパラサイトしよう! とかで、4 人以上で見に行くと一人 1,000 円で見ることができる。が、こんなボンクラ映画を見に行きたいという友人が 4 人以上いたら要注意と思った方がいいかな。初日に見に行ってるボクがいちばんボンクラでした。『フロム・ダスク・ティル・ドーン』『エル・マリアッチ』などで世のボンクラどもをうならせたロバート・ロドリゲス監督作。今回は少しネタに触れているので、見に行く気満々の人は読まないように。

 最近日米ともに『ベバリーヒルズ高校白書』(ボクは見たことがないんだけど)が人気のようで、高校を舞台にしたアメリカ映画がやたらと増えてきている。この映画も高校が舞台。そしてアメリカ映画得意の「侵略者」ものである。

 新旧の『ボディ・スナッチャー』、新旧の『遊星からの物体 X』と『遊星よりの物体 X』、新しいところでは『メン・イン・ブラック』などがあり、映画の中でもそれらに言及される。そういうちょっと引いたところは『スクリーム』とよく似た映画。と思ったら脚本家が同じ人でした。おいおいマンマやんけ。侵略者にたち向かう高校生たちが、過去の「侵略者」ものをのセオリーを参考にして作戦をたてるところが笑かします。ちょっと見たくなってきたでしょ。

 話変わってこれは小川店主に聞いた話なんだけど、アメリカの高校で頭のいいヤツはそれを隠すらしい。これは「能ある鷹は爪を隠す」という東洋の禅的な思想が浸透したから、ではなくて、頭がいいといじめられるから。『グッド・ウィル・ハンティング』でも主人公は天才的な頭脳の持ち主なのにそれをずっと隠している。また『25 年目のキス』では頭のいい奴らは「Nerd」(ナード)と呼ばれるいじめの対象で「数学クラブ」なんか作ってつるんでいる。アメリカの高校で浮かないようにするには頭がカラッポのふりをして、男の子はアメリカン・フットボール、女の子はチアガール。またはそういう人たちに逆らわずに暮らす、ということらしい。日本でいえばスーパー高校生というヤツか。

 想像するにロバート・ロドリゲスと脚本のケビン・ウィリアムソンの高校時代なんて、映画とヴィデオにどっぷり漬かって、きっといじめられ続けのものだったんだろうなあ。憶測ですけど。

 この映画で活躍するのはオタク少年と、頭が良すぎて世の中をなめきっているヤツ。一方スーパー高校生のチアリーダーは、侵略の決定的瞬間を目撃しちゃったもんだからオタク風の変装を余儀なくされたり、フットボールのクオーターバックはなぜだか「オレがスタープレーヤーだからみんなチヤホヤしやがる。これからは勉強してやる」とかいきなり目覚めたりなんかして、監督と脚本家はこの映画で高校時代の恨みを晴らしているとしか思えないのであった。

 色々と不条理感あふれるシーンもあり、全体としては上出来の方である。

 さえない高校時代を送った人は存分にカタルシスが味わえると思うのでオススメ。幸福なハイスクールライフを送った人はイヤな気分になるかもしれません。

BABA Original: 1999-Aug-10;

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