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 Movie Review 2005年5月17日(Tue.)

ドッジボール

 負け犬たちがボールで人生をつかみとる! ババーン! 街の“負け犬”憩いの場となっている零細スポーツジム“アベレージ・ジョー”、通りの向かいに最新設備とイケイケCMの“グロボ・ジム”ができ青息吐息。5万ドルを用意しなければのっとられてしまう!

 で、みなさんご想像のとおり、負け犬たちはドッジボール世界大会の賞金(ピッタリ5万ドル)めざして奮闘、という『ロッキー』『がんばれベアーズ』『とべないアヒル』、あるいは『少林サッカー』『ロボコン』にも援用されるアメリカ映画の黄金パターン、ですが、「5万ドル稼ぐのにいい手はないか…?」「よし! カー・ウォッシュだ!!」…という具合に観客の予想を微妙にはぐらかしつつ、意図的・これ見よがしにご都合主義的展開を見せ笑いを取るクールさ・クレヴァーさが素晴らしいです。

 どう転んでもハッピー・エンドにならざるを得ない題材、しかしそれでは気が済まず、エンドタイトル後に無理矢理に後味悪くなる仕掛けを施しているのも小気味よろしく気分悪く(お見逃しなく)、その他、大技・小技ギャグがふんだんに散りばめられ、ちょっと『フライング・ハイ』『トップ・シークレット』(デビッド & ジェリー・ズッカー、ジム・エイブラハムズ監督)テイストもある快作コメディに仕上がっております。

 ネタバレですが、カーク船長ことウィリアム・シャトナー、『ドラゴンへの道』ブルース・リーと一戦まじえたチャック・ノリス、『ナイト・ライダー』デヴィッド・ハッセルホフらがゲスト出演、てなことはどうでもよくてベン・スティラー(『メリーに首ったけ』とか)がノリノリ悪ノリ炸裂で悪役を演じ、ベン・スティラーのくどい演技は悪役でこそ光輝く、対して主人公ヴィンス・ボーン(リメイク版『サイコ』とか)は抑えた演技、そういう出演者のアンサンブル具合もただ者ではない監督・脚本はローソン・マーシャル・サーバー、これが長編デビュー作、すぐれたコメディ監督の誕生を祝福しようではないか皆の衆、と一人ごちました。

 そういう映画オタク受けギャグ映画の面もありつつ、6人 VS 6人、6個のボールで戦う世界大会ルールのドッジボール、なんと15世紀中国が発祥の地だそうですが、日本のドッジボールとは別のスポーツ、これがなかなかスピーディ、実際の試合も見てみたいドッジシーンも迫力あり、特訓シーンも楽しくどなた様にもお楽しみいただけるかと存じます。

 そんなこともどうでもよく、この作品、実は全国サイクルスポーツファンみなさん必見の作品、と書けば勘のいい人はピン! と感づいてしまうのでもう少しぼやかして書くと、全国ほにゃららスポーツファンがアッとおどろくあのお方が重要な役、というかもの凄いご都合主義的シチュエーションに登場されますので、ほにゃらら好きの方はお見逃しなく。バチグンのオススメ。

☆☆☆★★★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2005-May-16;