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 Movie Review 2005年5月11日(Wed.)

香港国際警察/NEW POLICE STORY

 香港・中国合作映画史上歴代No.1記録樹立! ババーン!

 フェリーニ、黒澤、キューブリック亡き後、[人間世界遺産]クラスの映画作家といえばただ一人ジャッキー・チェン!

 しばらくアメリカ映画に出てあげてましたが才能を浪費するのはもう、こりごり! と見切りをつけたかどうかはわかりませんが、ついに! 満を持して古巣・香港で映画製作、こりゃ女房を質に入れてもかけつけねば!(いませんが)と勢いこんでみたものの、なんと! 京都で上映していない!? アホか!

 その後、RCS・サトウさんの尽力で京都みなみ会館での上映が決定、京都が映画史から決定的に取り残されることはまぬがれたのであった。RCS、ナフ・リスペクト。ちなみに京都みなみ会館では5月20日まで上映。お見逃しなく。

 閑話休題。久々の香港ジャッキー映画、これが、素晴らしくグレードアップ/ヴァージョンアップ、「ジャッキーも50歳過ぎ、全盛期を過ぎてしまったしなぁ…」という私の早呑み込みを完全に粉砕する、最高傑作といえる仕上がり、今後もバンバン傑作が作り続けられるであろうことを十分予感させ、「ジャッキー、やっぱり最高! 香港/中国はワシントン条約でジャッキーを保護しろ! アメリカになんか輸出するな!」と、一人ごちたのでした。

 ジャッキー「満を持した」感ありありで、これまでになくリアルなキャラづくりです。まず冒頭、酒におぼれるジャッキー、路地裏でゲロゲロ吐いたりして超・情けない! 若干ネタバレですが、ジャッキーは部下を皆殺しにされてしまう大失敗をやらかし、落ち込みまくっていたのであった。かつてジャッキーが、ここまで激しく落ち込んだことがあったろうか? …(約5分黙考)…否、無い!

 謎の新人警官ニコラス・ツェーの叱咤激励やら何やらで、猛然とジャッキーは刑事魂をよみがえらせ、後半は[命がけアクション]のつるべ打ち。二階建てバスが暴走、ジャッキーが決死のアクションで惨事をくい止め、ニコラス・ツェー叫んで曰く「あんたがヒーロー!(That's My Man!)」、この、ジャッキー復活物語は、アメリカ映画での空回りからのよみがえりと重なり、これこれ、これですよ! と、私は茫然と感動、落涙したのでした。

 他にも泣けるシーン満載、「悪役」のキャラもビシッと立っていて銀行強盗リーダーの最期も泣けるし、ジャッキーの婚約者とのアレコレも、ベタベタですけどなぜだか涙が止まらない! つまり、アクションシーンだけでなく非アクションシーンもエモーショナル、アクションシーンと非アクションシーンが緊密に結びついているのであった。

 犯人グループとジャッキーの対決は、のんべんだらりん遊び半分で人生を浪費する若者と、仕事に命をかける中年(「面白い映画を作るために命をかける」ジャッキー自身と重なる)の対立でもあり、ジャッキーの若い世代、若い香港映画人に送るメッセージがガツン! と込められた力作となったおります。

 たとえば「レゴ(Lego)」展示会場でくりひろげられる死闘など、いつもなら「なんでわざわざそんなとこで戦うねん!」と呆れながらツッコミを入れてしまうところ、今回は話の流れにうまく納まっており(納まってないかも)、「よし! 素手で来い!」みたいなベタな展開も中年と若者がコブシで語り合うみたいな? テーマと連動しているのであった。

 監督は名作『ジェネックス・コップ』『Who Am I?』のベニー・チャン。ジャッキー映画は、なんといってもジャッキー自身が監督したものが素晴らしいですが、ベニー・チャン監督もかなり良いです。

 いつものジャッキーのコミカルなアクションは封印されており、とはいえシリアスなシーンでも、つい動きにコミカルさがにじみ出てしまうのはご愛敬、その辺のコミカル不足が物足りないとはいえ、まー画期的な傑作、ジャッキーの、そして映画の新世紀がここから始まるのだ! …って感じでバチグンのオススメ。

☆☆☆☆★★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2005-May-10;