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 Movie Review 2005年1月13日(Thu.)

エイリアン VS プレデター

 ――どちらが勝っても人類に未来はない。ババーン!

 ひょっとしたらブーム到来中? の「二大キャラ対決」もの、『フレディ VS ジェイソン』は素晴らしく面白かった。では今回『エイリアン』VS『プレデター』、それぞれコアでマニアなファンを持つ、20世紀フォックスの二大モンスターが大激突! 面白くないわけがない! で実際のところ、ちょっと面白いSF作品で(私の中では)定評あるポール・W.S.アンダーソン(『イベント・ホライゾン』『ソルジャー』『バイオ・ハザード』など)が監督・脚本を担当、ちょっと面白いSF特撮映画に仕上がりました。

 時は2004年、南極、氷の下に超古代遺跡が発見され、巨大企業ウェイランド社は、精鋭スタッフを編成して現地調査に乗り込んでみたら…という発端。ネタバレですが、そこはエイリアンとプレデターがガチンコ勝負する場所、人間どもは巻き添えをくらって次々に死んでいく、という素敵なお話です。

 現地調査団が遺跡の謎を探る導入部は、じっくりゆっくり観客をじらしつつ、エイリアンとプレデターがお目見えしてからは、両キャラの見せ場が炸裂する特撮シーンのオンパレード、くんずほつれず肉弾戦や、ビャーッ! と飛んでくるフェイス・ハガー(エイリアンの幼体)を、プレデターがドビャッ! と撃ち殺すシーンなど身震いするほどカッコよいです。

 特撮のメインは、昔ながらのアニマトロニクス(遠隔操作のロボット)、もちろんCGも使われてますが、極力少なめに抑えようとしている風で好感が持てます。また超古代遺跡のセットもカッコよく、遺跡好きの方もご満足いただけるのではないでしょうか?

 さて。見終わってみれば『エイリアン VS プレデター』というより、『プレデター3』という印象、それは『エイリアン』シリーズの本当の主人公リプリー(シガニー・ウィーヴァー)が登場しないことによるのでしょうね。

 代わりと言っては何ですが、女性ガイドのアレックス(サナ・レイサン)が生き残って、エイリアンよりプレデターの方がマシ、「敵の敵は味方」とばかりにプレデターと共闘関係を結んで、エイリアンにたち向かう展開、これは『プレデター』シリーズの延長線上の物語と申せましょう。

 というのも、プレデターは南米奥地で最初に発見されたドレッドヘアの蛮族、実は高い知性と戦士の誇りを持つ種族で、『プレデター2』ではロサンゼルスに現れ、テロリストのごとく殺戮をくり広げ、いわばプレデターとは、西洋キリスト教文明が出会った、決して屈服しない異民族の寓意、と見ることができましょうか。

『プレデター2』ではプレデターを倒した者を、「よくぞ頑張った!」とプレデター族が「戦士」として賞賛する、みたいな話で、今回はさらに進んで、エイリアンという災厄と闘うために、西洋キリスト教文明人と、異民族がタッグを組むという内容、つまり、地球規模の災害があいつぐ今こそ、「敵の敵は味方」という共闘関係を人類は模索すべきではないか? キリスト教とイスラム教で争っている場合ではない! そんなことをポール・W.S.アンダーソン監督は訴えているのかも知れませんね。絶対違うと思います。

『エイリアン VS プレデター』でなく、『プレデター3』として見れば上出来の部類、オススメです。

 この調子でプレデターには色んなキャラと対決して欲しいものです。『プレデター VS ゴジラFINAL WARS』『プレデター VS Mr.インクレディブル』『プレデター VS 釣りバカ日誌16 ハマちゃん危機一髪!』『クレヨンしんちゃん VS 嵐を呼ぶアッパレ! プレデター』…次の対決が待ち遠しいのでした。

☆☆☆★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2005-Jan-11;