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 Movie Review 2005年2月18日(Fri.)

オペラ座の怪人

 それは、哀しくも美しい 愛の物語。世界で8000万人が見た、大ヒットミュージカル、遂に待望の映画化! ジャーーーン!  ジャカジャカジャーン、ジャンジャン、ジャーーーン!  ジャカジャカジャーン…のテーマ曲でお馴染み…って私の拙い文章力では伝わりにくいですが、アンガールではありません。

 それはともかく、日本では劇団四季公演で有名(らしい。私は未見)、作曲家アンドリュー・ロイド・ウェバー自身製作で完全映画化、「舞台劇の再現・あるいは映画としての完全保存」が目指されている、とお見受けしました。きっとステージで見ればそれなりに興を催すのでしょうけど、映画としてどうなん? みたいな感じです。

 監督はジョエル・シューマッカー、『ロストボーイ』『フォーリング・ダウン』『フォーン・ブース』…Good Job! 『バットマン・フォーエバー』『バットマン & ロビン』『8mm』…Thumb Down! と、当たりはずれの大きい監督さんですが、今回はいかがなものか…?

 そんなことはどうでもいいのですが、まずオープニング、オペラ座のモノクロ写真、それが動画になって、廃屋同然オペラ座オークション風景一転、ジャーン!  ジャカジャカジャーン、ジャンジャン! とテーマ曲に乗って、一気に黄金時代にターイムスリップ! ここがなかなか素晴らしく、また、オペラ座で再現されるオペラシーンも、舞台に馬がいたり羊がいたりの祝祭空間が現出、これまた素晴らしいけど、小太りファントム氏が現れうろつき出すと途端に眠くなり、こらこら公演の邪魔をするんじゃない! と劇場主ならずとも腹立たしい気分でいっぱいになりました。

 そもそも[ミュージカル]と申しても色々あって、この『オペラ座の怪人』は『シェルブールの雨傘』方式に近く、全部が全部ではないですが「素」のセリフも歌になっております。

『シェルブールの雨傘』は、演出・撮影・音楽・編集それぞれ素晴らしく、セリフがすべて歌になっていても「ああ、これは[そういう世界]のお話なのですね」と納得・感動・感涙できるのですけど、この『オペラ座の怪人』、普通にしゃべっておけばよいものを、ファントム氏らがいちいち歌で歌うのがまどろっこしく間延びした印象、朗々と歌い上げるヒマがあったら先に話を進めなさいな、例えば剣戟シーンも歌いながらですと、なんだかノンビリすることはなはだしい…と感じたのですが如何でしょうか。

 登場人物たちは感情やら状況やらすべてを歌詞で説明しており、しかも日本ではご丁寧に字幕付きですから、[歌詞と字幕]で感情やら状況やらすべてが説明される、そんな映画は、あんまり面白くないですな、と思いました。Thumb Down。

 また、モノクロのお爺さんが総天然色の昔を回想する構成で、どうやらこの爺さん、ヒロインをファントム氏と争った二枚目ヒーローのなれの果て、と段々とわかってきますが、「それならヒロインは悲劇的な最後を遂げたに違いない…」と先読みしてしまったのですけど、あにはからんやヒーロー+ヒロインは目出度く結婚、ついこの間まで楽しく健康に暮らされていたようで、誠にご同慶のいたりでございます。

 とりあえず、豪華絢爛セットの数々が『ホーンティング』『エンド・オブ・デイズ』に匹敵するくらい凄いのでオススメです。

(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA
Original: 2005-Feb-17;