ホーンテッド・マンション
この館には誰も知らない秘密があった――。ぞぞぞーー!
ネタ切れ顕著なアメリカ映画にあって、とりわけ深刻なのがディズニー映画、日本アニメの剽窃に飽きたらず、ディズニーランド資産の食いつぶしにとりかかっており、人気アトラクションを映画にするという、よくわからない暴挙に出てはみたけど、意外にも面白かった『パイレーツ・オブ・カリビアン』に続き、今回も上出来の部類でございます。
これは私が学生時代、お化け屋敷裏方のアルバイトをし(実話)、数万人の老若男女をおどかした経験から言わせていただくのですが、結局のところ、お化け屋敷を生かすも殺すも、客次第なのでございます。ノリのいいお客さんは、ほっておいても勝手にぎゃあぎゃあ怖がって楽しんでくださって、その様は誠に愉快でございました。
それはともかく、「西洋お化け屋敷映画」といえば、みなさんはまず『ホーンティング』(ヤン・デ・ヴォン監督)を想起されるでしょう。今にして思えばあれは、演出や脚本より何より、お化け屋敷を訪れた客がまずかった。リーアム・ニーソン、キャサリン・ゼダ、リリ・テイラー、オーウェン・ウイルソン……はっきり言って、こんな反応の薄そうな客では、幽霊もおどかし甲斐がなかろうに。ことに、リーアム・ニーソンはひどかった! せっかく石像がいきなり動き出しても、何ごとも無かったかのようにすたすた立ち去ったりするのですよ。まったく、リアクションが成っちゃいません。ダチョウ倶楽部に弟子入りして出直していただきたい! と忸怩たる思いを抱いて数年、ついに西洋お化け屋敷は、最高の客を迎え入れたのである。そう、エディ・マーフィである! じゃーん!
とにもかくにも、怪異の数々を目撃しての、エディ・マーフィのリアクションが最高に素晴らしいです。ビビりながらも、ツッコミを入れたりして、『チャーリーと 14 人のキッズ』に続きノリに乗ってる感じで、エディ・マーフィは再び黄金期を迎えているのではないかー?
さらに、スクリーン上に再現された、名作アトラクション見せ場の数々、やっぱり素晴らしいのであります。CG も使われてますが、アナログ感覚が残っている感じ?
いちばん盛り上がるのは、オリジナルにはない、ゾンビが襲ってくるシーンだと思うのですけど、これは巨匠リック・ベイカーのスペッシャル・メイクで、やはり、アナログは良いなぁ、としみじみ思いました。CG を使うほど、映画はつまらなくなることが見事に立証されているのではないでしょうかっ! CG は、補助的に使うべし、と私は声を大にして言いたい。
とはいえ、最近のヤング諸君には、「CG が使われていない映画は、映画ではない!」みたいな風潮もあるそうなので、そんなことはどうでもよくて、エディ・マーフィのリアクション演技をご堪能ください。マジボケ気味のテレンス・スタンプも良い感じ、ゴシック趣味バリバリのセットも素晴らしいです。
お化け屋敷は客次第、お化け屋敷映画も結局は客の心持ち次第、「よーし、こうなったらお父さん、とことん楽しんじゃうぞ!」みたいなポジティヴな気持ちでご鑑賞いただければよろしいんじゃないかと。
☆☆☆★(☆= 20 点・★= 5 点)