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 Movie Review 2004・1月7日(WED.)

チャーリーと
14 人のキッズ

 エディ・マーフィ扮する食品会社エリート社員、息子の相手もままならぬ忙しい日々。ところがリストラされ一転、奥さんが働きに出、エディは子育てに専念することに。いやオレは就職活動しなきゃならぬし子供の面倒ばかり見てられぬと保育園探しに出ても、町にある、まともな保育園は月謝が超高い。「よし! この町で安めの保育所を始めれば絶対儲かるぜ!」と、同僚の太っちょ白人ジェフ・ガーリンとともに、自宅でお父さん保育園、その名も「Daddy Day Care」を始めたのであった! ババーン!

 エディ・マーフィが慣れない子供さんの世話に大奮闘、すったもんだの末に軌道に乗りかけたと思ったら、高級保育園園長アンジェリカ・ヒューストンの妨害工作があったりと、お約束の展開ですけど監督は、アイス・キューブ主演『Next Friday』(私は未見)や『ドクター・ドリトル 2』のスティーブ・カーで風俗描写に力を発揮、子供たちを始め登場人物のキャラもしっかり立って、脚本はジェフ・ロドキー、自身の失業・子育て体験を元にしたそうで、「子育てはどうあるべきか」「あるべき保育園像」というテーマも手堅く描かれ、いくつか爆笑シーンもある上質ハートフル・コメディに仕上がっており、ガハハハハッ! と大笑いしても、平日夜の京極弥生座 2 の客席には私一人、気分は自分専用試写室、スタンリー・キューブリック状態。とほほ。

 ダディ・デイケアの保父さんは、失業黒人エディと失業デブの J ・ガーリン、元同僚から「負け犬!(Loser)」と嘲り笑われます。後に加わるスティーブ・ザーンは、いわゆるナード(Nerd 、オタク)で普段着は『スター・トレック』シャツだったりして、そういう負け犬たち、当節流行日本風に言えば「負け組」の 3 人が大奮闘、誇りを取り戻し、「勝ち組諸君は、本当に有益な人生を送っているのかい? 一日の内、どれだけ家族と過ごしているんだい? たとえ負け組でも、子供と一緒の時間を過ごせる人生の方が素晴らしいじゃないか!?」とのメッセージに、私は呆然と涙したのでした。

 ことにナード、S ・ザーンのキャラ造形が素晴らしく、大人社会では負け犬のオタクも、保育園では、誰より子供の気持ちがわかる、というか、アニメの話題で子供と対等に会話できる名保父となるのでした。オタクとハサミは使いようでございます。

 ネタバレですけど、ギャグをひとつ紹介させていただきます。

 それにしても、スター・トレックオタクの S ・ザーン、子供扱いが巧すぎる。不思議に思ったエディが聞いてみたところ、S ・ザーン曰く

「昔、間違えて『スポック博士の育児書』を読んじゃったんだよ!!」

 がーはっはっはっは!! ……と大笑いしても一人。しょぼん。

 なぜかチープ・トリックがゲスト出演、『Surrender』を演奏したり、なんてことはどうでもよく、ブラックムーヴィー・テイスト、ヒップホップ風味は薄味ですけど、続編製作も決定しているとのこと、92 分と短めの上映時間で過不足なくまとめたスティーブ・カーの手腕は見事、バチグンのオススメ。

☆☆☆★★★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2003-Jan-6;

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