Movie Review 2004・4月20日(Tue.)
クイール」の見どころ
公式サイト: http://www.quill.jp/
- ヤマネ
- さて、今日は犬好きたちの涙をちょちょぎれさせているという評判の映画、『クイール』について何かと語り合いたい、犬好き 3 人が集まった次第であります。
- BABA
- 最近犬と散歩している夢をよく見る BABA です。よろしく願います。クイール、最高! ていうか犬最高。
- ポチ
- (目を真っ赤にしながら)思い出したらまた泣けてきました…しくしく。
- ヤマネ
- さて、“ポチ”というのは犬ではなく、私の同僚の家具作家さんなのです。さらに BABA さんの大学の後輩でしたね。どうして彼女を今回ゲストに呼びましたかといいますと、最近急激に犬にはまっているからです。
- ポチ
- ひょんなことで数日前から、ラブラドール犬を飼うことになりまして、ジズーという名前のオスなのですが、この子が可愛くて可愛くて!! 毎日家に帰るのが楽しみで楽しみでしかたないんです。それで、この子の、しつけの参考になるかなと思って、ライバルのクイールの一生を観に行ったのですが‥。なんていうか、クイールと自分の犬を重ねて見てしまいました。だから最後にクイールが死ぬシーンは、いてもたってもいられなくなりました。ジズーも、こういうふうに死ぬ時がくるんだー、って。死ぬまで、もうたったの 12 年ぐらい‥しくしく。
- ヤマネ
- あんまり目をこすらないほうがええよ。
- BABA
- …ってまだ生まれたばっかりやん! とはいえ、この最後の死ぬ場面、クイールがひっくり返るところに CG が入っていたでしょ、あれが良かった。あの CG のおかげで客観的にクイールの死が観られました。ホッとした。
- ヤマネ
- CG の素晴らしい効果ですね、醒めさせてくれて助かりました。こんな CG の使い方があったか! と目からウロコでした。そんなことより、ボクんちの犬の話を聞いてくださいよ! 我が家もゴールデンを飼っております。現在 1 歳半です。はっきりいいましてクイールより少しだけ可愛いです! これは家族で一致した意見です。客観的な評価です。
- BABA
- ……。自分のところの犬が一番可愛いのは、犬好きならではですね。
- ポチ
- だって、やっぱり身近に接していると愛着が違います。クイールなんて亀岡の犬でしょ。遠い、遠い‥しくしく。
- ヤマネ
- 映画館の前に、恥ずかし気もなく「我が家のクイール」とかって自分の犬の写真を送りつけた人たちがいますけど、その時点でクイールに負けてるやん! クイールがなんぼのもんやねん、ていう気概はないんか! と悲しくなります。第一、映画をみてもクイールの凄さが全然わかりませんでした。そりゃあ盲導犬として活躍出来るほど賢いのはわかりましたよ。でも取り立てて映画になるようなドラマチックなエピソードはないでしょ? ご主人が死んでからも駅前で待ち続けてないし、南極から帰ってきたわけでもないし。遠くから家に帰ってきたわけでもない。もっとご主人様を危機一髪救う! みたいな話があるのかと思ってました。
- BABA
- だからその普通さがいいんだってば。そういう普通の犬の一生を淡々と描くからこそ、自分たちの犬を重ね合わせて感動を呼ぶわけですよ。
- ポチ
- うちのジズーはまだお手も出来ませんし。本当にお手が出来るようになるのかしら‥しくしく。ねえ、ヤマネ君のところはどれぐらいでお手をするようになった? なかなかしてくれないんで心配なんです‥しくしく。
- ヤマネ
- 3 ヶ月目ぐらいじゃなかったかな? そのうちするようになるって。うちのはアホやけどお手はするで。ところでクイールは一度家を脱走しますよね。我が家の犬も一度脱走しましたので、その点では引き分けです。でもクイールがスゴイのは、唐揚げを口にくわえたまま食べない場面があるでしょ、あれはうちのは絶対ムリです! 速攻で食べます。
- ポチ
- 私も、頑張ってしつけて、クイールまでとはいかなくても、買い物とかしてきてもらいたいなあ。ねじとかビスとか買ってきてくれるようになったら嬉しい!
- BABA
- それは難しいんちゃうか。
- ポチ
- ええっ! 無理なんですか!? ‥しくしく。
- ヤマネ
- さて、この映画の要点は、「飼い主が犬より先に死んじゃダメだ」という教訓だと思うですがどうでしょうか。
- BABA
- それはあるね。やっぱり最後は看取ってあげないと。「だめだよー、犬より先に逝っちゃあ」っていう葬式のシーンがあるけど、あそこは泣けたねー。
- ポチ
- その時点ではすでに完全に鼻がつまっていて、泣いたというより呼吸困難でしんどかったです。
- ヤマネ
- 僕はそこでは泣きませんでした。泣いたのは、2 度目の別れ、向日市で、「いつもより長くゆっくり散歩しました」というところが一番ぐらっときました。あのパピーウォーカーってのですか、子犬のうちに別れるわ、最後は看取るわ、つらいことばっかりでいいとこなしやん!!
- BABA
- パピーウォーカーの家に戻って、夢にまで見たぬいぐるみの P ちゃんが、まだ残って待っていたところも泣けました。
- ヤマネ
- あれは『くまのプーさん』を思い出しましたよ。もしくは『A. I.』とか。P ちゃんが庭にいるのをみて本当に参りました。うーん、P ちゃんみたいな人形、うちの犬にも与えてやりたいなあ。
- BABA
- MOVIX 京都のショップに売ってたよ。4500 円くらい。
- ヤマネ
- な、なにい! 絶対買いにいきます! くそぅ、うまい商売思いつくなあ‥。
- ポチ
- でも、ヤマネ君がそんなに犬が好きだなんて知らなかったわ。いつもあんまり犬の話してくれへんし。‥しくしく。BABA さんも昔から犬好きなんですか?
- BABA
- 子供の時は飼ってたみたいやけどあまり憶えてません。で、最近友人の犬にはまってしまって、急に思い入れが…。大人になってから犬を好きになると、歯止めがきかなくてやばいです。でも幸せです。精神病患者の治療に使われるっていうのもわかります。
- ヤマネ
- なんか、「犬が好き!」と言っちゃうと、犬に依存しているような印象で、あまり感じが良くないんじゃないかって思っていて、意識的に距離をおこうとするんだけど、この歳になってから飼うということは、それなりの覚悟があってのことですので、やっぱり充分に可愛がる必要があると思います。っていうか、一人の時は思いっきり、可愛がっています。よーしよしよし! って。
- BABA
- 絶対、犬の死については意識するしね。崔洋一監督は、凄い犬好きらしいから、この映画を通して犬好きたちに優しく、愛犬の死に向き合う準備をさせているんじゃないかな。とにかくよく出来ています。DVD が出たら即買いです。
- ポチ
- 私もこの映画好きですけど、すごく泣くし、もういいです。映画館にハンカチを持っていくの忘れたので、本当に辛かった。ああ、そうこうしてるうちにジズーがお腹をすかして待っているから、帰ります!!
- BABA & ヤマネ
- あ、いいな! 僕らもジズーと遊びたーい!
その後、ポチ宅で三人は、夜が更けるまでジズーと遊びました…。