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 Movie Review 2003・9月9日(TUE.)

ゲロッパ!
―GET UP!―

 最高のソウル・ブラザー、ソウル界のゴッドファーザー、ミスター・ダイナマイト、ファンキー大統領、ショウビズ界一の働き者! ジェーーーーーーームズ・ブラウウン!! を、拉致せよ! …二日後に刑務所に行く親分さんに、JB を会わせたい! という組員たちの奮闘、さらに親分さんと生き別れの娘との再会なるや? などなど、さまざまな要素がブチこまれた、井筒和幸監督の一大エンターテインメント巨編です。…というよりは、70 年代以前であればプログラム・ピクチャ 2 本立ての一本という雰囲気で、「たまたま見たらメチャ面白かった!」と、いう感じでございます。

 して井筒監督といえば、『ガキ帝国』『岸和田少年愚連隊』という最高の不良少年映画 2 本で日本映画史に永遠に記憶される監督ですが、最近はテレヴィ番組「虎の門」のイチコーナー「こちとら自腹じゃ!」の辛口コメンテイターでご活躍のようです。「こちとら自腹じゃ!」と言われたかて、んなもんこっちかてズッと自腹でんがな! と言いたいのはおいといて、「虎の門」を見ていないのでよくわからないのですけど辛口批評で人気らしく、サイトをチラとのぞいてみれば、『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』に対して

本当は 1 つ星くらい期待していたが、手に汗握る展開が無かった。テレビの延長のネタ切れ見てるみたい。
点数: 0 ☆(ネタ切れやな!)
http://www.tv-asahi.co.jp/tiger/contents/jibara_sp/030815/sp2.html

 とか、『マトリックス リローデッド』には

カンフーなどのアクションには迫力を感じなかったが、カーチェイスの部分は良かった。ただ、全体的に長過ぎる…。再編集して 80 分くらいに収めてもいいのでは!?
点数: 1 ☆
http://www.tv-asahi.co.jp/tiger/contents/100/031/jibara/index.html

 …など、うむ、とうなづけるコメント多数。

 それはともかく、そうやって他人様の作品を批判したからには、それが自分の作品に跳ね返ってくるわけで、よっぽど力強い作品を作らなければならぬ、と今回『ゲロッパ!』気合入りまくり、ディテイルの隅々まで観客を楽しませるための創意工夫に満ち、「不良少年」と「大衆芸能」(『のど自慢』二部作)という井筒監督が追求するテーマが交錯する集大成のおもむき。

 そんなことはどうでもよく、日本映画では近来マレに見るくらい脇役にいたるまでキャラがビンビン立ちまくっております。「GET UP !」とは、「もっとキャラを立てろ!」という意味かも。岸部一徳、山本太郎など、バチグンに魅力的なキャラで、映画の終盤が近づくにつれ「ああ、もうすぐ彼らとお別れなんですね」とさびしい気持ちでいっぱいになりました。映画の質をワンランク上げるなら、岸部一徳、山本太郎を出演させるのが近道であります。

 主演の西田敏之は、ひょっとしてネイティブか? と思うくらい関西弁を駆使して見事。山本太郎と関西弁でののしりあうシーンは秀逸です。西田敏之の孫、常盤貴子の娘を演じる子役の太田琴音ちゃんも素晴らしかったです。

 運が良ければ、見終わった劇場の観客多数が「あー面白かった!」と一人ごちニコニコする幸福な瞬間を味わえるでしょう。急遽 JB のモノマネの代役を務める西田敏之が大ウケするのは白々しいかも? など、ツッコミたいところは色々ありますが、バチグンのオススメ。

☆☆☆★★★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2003-Sep-9;

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