僕の妻は
シャルロット♥
ゲンズブール
「僕の妻はシャルロット・ゲンズブール」とは、うらやましいぞコンチクショー! と一人ごち、それはともかく妻が映画女優シャルロット・ゲンズブールの、さえない 35 歳スポーツ記者の悲喜こもごもを描きます。シャルロット・ゲンズブールを演じているのは、バッチリはまり役(当たり前)シャルロット・ゲンズブール本人、旦那さんイヴァンを演じるのはこれまたイメージぴったりイヴァン・アタル、実生活でも夫婦の二人が夫婦を演じ、しかも監督はイヴァン・アタル本人、ともすれば内輪ノリ、あるいはナルシシズム過剰、または週刊誌ネタ、それとも露出狂? との批判はまぬがれえぬところ、原題は「僕の妻は女優」、タイトルバックはグレタ・ガルボやらマレーネ・ディートリッヒやらルイーズ・ブルックスやらポートレートが映し出され、「女優という職業に関する考察」みたいな普遍的なテーマが浮かび上がり、いやそんなことはどうでもよくて、「共働き夫婦の愛情の育て方」みたいな感じ。
パリで妻が女優である確率は 1/120 だそうですから、ある夫婦の話を映画にしてみたら、たまたま奥さんが女優だった、そういうわけで『マルコビッチの穴』『デブラ・ウィンガーを探して』に連なる「俳優実名映画」というより、『夫婦善哉』みたいなもんですね、ってよくわかりません。
イヴァン・アタル監督の題材に対する距離の置き方が嫌味じゃなくてよろしいんじゃないか、自分自身を滑稽に、かつ度はずれた阿呆として描き、でも妻はシャルロット・ゲンズブールなんだよーん、えへへと自慢したくなる気持ちもわかるシャルロットのキュートさが全編にあふれる。女優の魅力を炸裂させて映画のグレードはグンと上がるのであった。
旦那イヴァンは、映画のロケでロンドンに出かけた妻シャルロットが浮気しやしないか? ラヴシーンを本気で演じてやしないか? とヤキモキ焼き餅、共演相手はプレイボーイとウワサの、…………なんとテレンス・スタンプ! って、歳とりすぎ? と思わないでもないですけど、微妙に老人力かもし出し笑かしてくれますし、若いイケメン俳優では余りにも生々しすぎたんでしょうか。
ともかく、夫婦の物語を、夫婦で作り上げたシャルロット+イヴァンお互いに対する信頼、愛情の深さに私は呆然と感動したのでした(本当)。パリ、ロンドンの風物もお洒落でよろしいんじゃないかと。カップルで見るのにもぴったりオススメでございます。
☆☆☆★(☆= 20 点・★= 5 点)
BABA Original: 2003-nov-11;