24アワー・
パーティ・ピープル
『めぐり逢う大地』京都公開が待たれる(誰も待ってませんか?)マイケル・ウィンターボトム最新作。『めぐり逢う大地』は、製作費 50 億円、ミラ・ジョヴォヴィッチ、ナスターシャ・キンスキーが出演する大作で、− 30 ℃のカナダで撮影され、話も重めみたいで苦労したのか、うってかわって新作は「ファクトリーの精神でファクトリーを撮る!」と、行き当たりばったりというか、アドリブを効かせた気楽な編集(?)で、80 年代に忽然と起こったマンチェスター・ムーヴメントの顛末を描きます。
近過去ブリティッシュ・ロック・ストーリーといえば、『シド・アンド・ナンシー』『ヴェルヴェット・ゴールドマイン』、はたまた『バックビート』みたく、ドロドロベタベタ、ウジウジしたロマンチックな作品が多かったのですが、この『24 アワー・パーティ・ピープル』の場合、主人公であるファクトリー・レコード創立者トニー・ウィルソンのキャラクターのおかげで、ドライというか、自己批評的/戯画化しているというか、「俺たちはなんて阿呆なんだ! 笑っちゃうよね?」って雰囲気なので大丈夫です。
このトニー・ウィルソン、地元テレヴィ局の人気レポーターだそうで、冒頭いきなりハングライダーの突撃レポートに始まり、カメラに向かって話しかけるレポーター・スタイルが「映画」にも染みだして、「この映画にも、当時の関係者がカメオ出演してるんですよ、DJ デイヴ・ハスラムにマイク・ピカリング…」などなどと紹介を始めるとか、そもそもテレヴィ・レポーターなので、対象に接近しつつも、何処か醒めている雰囲気がなかなかよろしいのでした。
それはともかく、『24 アワー・パーティ・ピープル』『ダンサー・イン・ザ・ダーク』『ブエナビスタ・ソシアル・クラブ』、この 3 本に共通するのは何か? それは、「音楽映画」である! ババーン! …ということもそうですけど、3 本とも撮影監督がロビー・ミューラーなのであった。ヴィム・ヴェンダース(『パリ・テキサス』)、ジム・ジャームッシュ(『デッドマン』)、ラース・フォン・トリアー(『奇跡の海』)と、ミニシアター系(?)監督の撮影監督をつとめてきた名手でございます。『ブエナビスタ〜』、『ダンサー・イン・ザ〜』(のダンスシーン)もそうでしたが、この『24 アワーズ〜』でも機動力のある手持ちデジタルヴィデオカメラで撮影されたそうです。
そんなことはどうでもよく、展開がやたら早く、ワタクシの場合「ファクトリー」や登場するバンドに関する予備知識が少ないので面白みがイマイチわかってない気がしますし、即興風のチョカチョカした編集が眠気を誘いますが、とりあえずトニー・ウィルソンのキャラが面白いので大丈夫でした。オススメです。
☆☆☆★(☆= 20 点・★= 5 点)
BABA Original: 2003-Jul-9;