ビロウ
『π』のダーレン・アロノフスキー原案・脚本・製作…って、売りがそれくらいしかないのは、何だかナー、ワクワク? って感じなのですが、監督はヴィン・ディーゼル主演でちょっと面白かった『ピッチ・ブラック』のデヴィッド・トゥーヒー、新感覚潜水艦サスペンスである! ババーン! …って、めちゃくちゃ面白そうなんですけど。やれやれ。
で、第二次大戦中。アメリカ軍の潜水艦。何だかよくわからないのですが、色々トラブルに見舞われ、どうやら内部に攪乱・破壊工作をしている人がいるみたいだゾ? とか、死体がしゃべったりとか、疑心暗鬼が広がってどうこう、というお話なのです。しかし、そもそも観客私は誰に感情移入して見ればいいのでしょうか? 主人公は一体誰なのでしょうか? と、ズッと悩み続けているうちに終わっちゃった、という感じ。ふと、私は、感情移入できる主人公不在でサスペンスが成り立つのか? という命題に思いを馳せた。
サスペンスとは、主人公の背後に悪役が…、というように何らかの危機的状況が迫っており、それを観客は承知しているのであるが、主人公は知らぬが仏、という“宙吊り”状態のことと了解しております。しかし、この作品のように全ての登場人物が怪しい、というかキャラがハッキリと立たず、いやそもそもこの潜水艦は何をしているのか? 浮上できないとすればどういう不都合があるのか? そういう状況を示さないところにダーレン・アロノフスキーのほとばしる才気がほとばしっているのかも知れませんが、一体何が面白くてこんな映画を作られたのか、はい、ご苦労さんでした、とねぎらいの言葉をかけざるを得ません。
しゃあない、寝るか、と思うても、ジャジャーン! ガガーン! と、コケ脅しの効果音が鳴り響きっぱなしでうるさくてしょうがない。いや、一部、機雷が潜水艦の甲板をごろんごろんと転がるシーンとか、カッコいいシーンもあったのですけれども。ヴィン・ディーゼルでも主演しておればそれなりに面白かったのかもしれませんが、無名の地味な役者さんばかりでね。これがまた。
うーんと、“超”が付くほどの潜水艦映画マニアの方(誰?)にオススメ。
☆(☆= 20 点・★= 5 点)
(BABA)