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 Movie Review 2003・4月25日(FRI.)

ドリームキャッチャー

「見せてあげよう 見た事を後悔するものを」って、つまらな過ぎて後悔するってことなんですね? と問いつめたい気持ちでいっぱいですが、スティーブン・キング自身は「この作品は、少なくとも過去 15 年の間に私の本を原作にして作られた映画の中では、真に成功した最初のホラー・サスペンス映画です」と、いたく気に入っておられる様子なのはどうしたことでしょう。

『ミザリー』『アトランティスのこころ』でキング原作をうまいこと脚本化した名手ウィリアム・ゴールドマンが、原作のエッセンスを手際よく抽出しているようですけど、『ミザリー』『アトランティスのこころ』の場合は、キング原作としてはこぢんまりとした話なんで映画向きだったのですけど、今回『ドリームキャッチャー』は、私は未読ですが、『IT』風の、膨大な物語が散りばめられた壮大なものみたい。長年エイリアンと戦い続けている軍人モーガン・フリーマンや、幼なじみ 4 人の子ども時代など、それぞれに映画一本分以上の物語があるはずで、どうもダイジェスト感が漂い、盛り上がりに欠けるのでございます。というか、原作はメチャクチャ面白いに違いない、と確信を深めました。ああ、先に原作を読むべきであった、と見た事を後悔するものを見てしまいました。

 監督ローレンス・カスダンは『偶然の旅行者』『再会の時』などのヒューマンドラマを得意とする監督で、やはり、日常の描写に精彩を発揮し、一方ホラーなシーンがあっさり気味、カッコいいホラーシーンこそが見たい私には物足りないし。

 キング自身が「成功した!」と喜んでいるのは、マニアックな、ホラーおたく向けの作品になっていないからでしょうけど、では誰向けなんでしょうね。『エイリアン』に関する言及があったり、異星人の造型が『寄生獣』風なところとか、オタクっぽいのに、ヒューマンドラマに仕上げてもなあ? って、やっぱりこれは笑わそうとしている映画なんでしょうかね。クライマックスに思いっきり笑ってしまいましたが、よかったのでしょうか? 謎が残る作品でございます。どうでもいいけど。

 見た事を後悔する人が続出し、壊滅的な興行が予想されたのか、ウォシャウスキー兄弟が脚本・プロデュースする『マトリックス』のサイドストーリー 3D CG アニメ、『アニマトリックス』が併映されておりますのでオススメです。てか、こういう CG は嫌い。

☆★★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA

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