Movie Review 2002・11月8日(FRI.)
王様の漢方
中国に進出している日本商社の社長・渡辺篤史は事業がうまくいかず、サラ金の取り立てにおびえる日々。興奮すると眼がチクチクと痛み出し、周囲が赤く見えるという持病があり、これがますます悪化したある日偶然、漢方医・李先生の診療所に入っちゃったところ、李先生「ほっほっほ。アッという間に直りますよ」と一瞬の治療、チャララーン! それまで赤っぽかった画面もサッと普通の色彩になって快癒。渡辺篤史は大喜び……って、あのー、なんか演出がテレフォン・ショッピング並みに安いんですけど。思わず、「今ならこの漢方セット、針灸セットもお付けしてたったの 9,800 円!(おおおとどよめく客席)」とナレーションが聞こえてきそうです。
それはともかく感激した渡辺篤史は、「万里の長城に住む漢方医に病気を治してもらおうツアー」を企画します。で、集まったのはインポテンツの人、末期癌の人、痩身したいモデルの人…はいいとして、「性同一性障害」の人…って、漢方の万能ぐあいをアピールするためとはいえ、無理矢理な設定ですねん。ほんで大映テレヴィもビックリの安いお話が展開、みな漢方医に癒されて万事オッケ! …って、もうちょっと何とかならんや?
李先生を演じるのは、『變臉/この櫂に手をそえて』の朱旭(チュウ・シュイ)で、いかにも漢方の先生っぽく、この人やったら、どんな病気も治してしまうかも? と思わせる説得力ある演技、そんな李先生が紹介する漢方のアラカルトは「ふーむ、なるほど」と興味深いのですが、演出が安い。江戸木純がプロデュースと共同脚本なので、狙ったのでしょうか? なんか李先生・朱旭の名演が勿体ないです。
とはいえ、「漢方」のエッセンスが覗けるのでオススメ。
☆☆(☆= 20 点・★= 5 点)
BABA Original: 2002-Nov-08;