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 Movie Review 2002・5月21日(TUE.)

ハッシュ!

 ところで京都クラブ・メトロで約 10 年間開催され続けているイベント「Diamonds Are Forever」をみなさんご存知でしょうか? ダンスとドラァグ・クイーンのショウが楽しめるイベントなんですけど、数年前まで出演されていたメローディアスさんが、この映画の新宿二丁目通行人役で 2 カット約 10 秒間出演されておられますよ! ビックリしたなぁもう。(クレジットは「ハスラー・アキラ」)

 それはともかく『二十歳の微熱』『渚のシンドバッド』の橋口亮輔監督最新作。30 代の、ゲイ・カップルと一人の女性の都会で暮らすことの孤独と、疑似家族形成の物語を描きます。

 田辺誠一はゲイであることを周囲に隠しており、まあなんちゅうかヌルく生きておりまして、思いを寄せてくれる同僚の OL にも「ボクはゲイだから、キミとはつきあえないよ」と毅然とした言葉が言えず、ズルズルと人間関係をひきずりがちな性格。相方の高橋和也は割り切ったネアカなゲイ。このカップルの前に、「幸せな人生」は自分にはもう無理と半ばあきらめた歯科技師=片岡礼子が現れます。偶然出会った田辺誠一の「優しさ」を直感的に悟った片岡礼子は、「今の人生を変えるには、私には子供が必要なの。子供作りに協力してくれろ」と強硬に頼み込みます。うーん、狂ってる! …ですが、このような行動に出ざるを得なかった片岡礼子の孤独な精神に胸を打たれ、笑えるのですけどやがて悲しくなってくる。さらに、田辺誠一は家族の絆もそれなりに大事にしているのですけど、驚くほどアッサリと断ち切れてしまう。人間関係なんてそんなもんで、つまり一期一会、瞬間瞬間を大切にしておかなければならない、ってことでしょうかね。

 この、ちょっと普通ではない「家庭」を通して、作者は、ボケーッと生きてるとたやすくひとりぼっちになってしまいますよ、変でもいいから家庭を持ちなさい、人と買い物に行ったり、一緒に美味しいモノを食べる、そんな小さな確かな幸福の積み重ねが人生というものなのですよ、と問いかけているのではないでしょうか? いやー、映画ってほんっと素晴らしいですね…と、なんか水野晴郎みたいなまとめになってしまいましたが、おかしゅうて やがて悲しき ゲイライフ …あ、うっかり一句詠んでしまいました。ゲイの方にはバチグンのオススメ、たとえ男女のカップルでも身につまされる部分は多々あるのではないでしょうか。私の後ろの席に座った人は笑い過ぎ。京都朝日シネマでの上映は終わってしまいましたので、ヴィデオででも見てくださいな。私、橋口作品を見るのは初めてなんですけど、良いですね。とりあえず『二十歳の微熱』『渚のシンドバッド』をビデオを見てみようと決意したのでした。終わり。

☆☆☆★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2002-May-21;

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