突入せよ!
あさま山荘事件
「あさま山荘」突入作戦を指揮した当時警視正の佐々淳行のルポを、『金融腐食列島 呪縛』の原田眞人監督で映画化。NHK テレヴィ『プロジェクト X 〜挑戦者たち〜』の「あさま山荘 衝撃の鉄球作戦」と対をなして「人質救出に命をかけた男たちの熱き戦いのドラマ」という雰囲気で、日本映画には希有な、エンターテインメントとしてキチンと成立した政治映画となっております。
人質救出作戦の顛末を丁寧に描き、「あさま山荘」事件は警察にとってもほぼ初めての銃撃をともなう対籠城戦で、トラブル続きであったことがよくわかります。事件は長野県警の管轄内で起こり、そこに対過激派戦では実績がある警視庁が派遣されてきます。長野県警と警視庁の縄張り争いというか面子、顔を立てるというか、日本的なしがらみのゴタゴタがあり、長野を立てて色々まかせてみるとポカしまくる、という感じ、実際の突入にあたっても指揮系統がゴチャゴチャしていたり、よくぞ、人質救出最優先の方針がつらぬかれたものよなあ、と感心。
この映画は、連合赤軍が何であったかについてはほとんど触れず、警察組織内部のゴタゴタを「日本版 FBI」設立を持論とする後藤田警察庁長官(当時)の特命を受けた佐々淳行(役所広司に駄作なし)が見事に仕切って事件を解決に導いていく、ってことで日本でも FBI 的な、中央権力直轄の警察組織が断固必要である、とのプロパガンダを粛々と行っているのではないでしょうか? 知らん。
それはともかく色々ありつつも使命に命をかける男たちの姿には感動を禁じ得ず、人質救出の瞬間、私は呆然と涙したのでした。よくやった! 感動した!
原田眞人監督は『金融腐食列島 呪縛』のようにカメラをやたらめったら振り回すこともなく緊迫感の中にもユーモアも漂わせて見事。「危機管理」のテストケースとしても面白いのでサラリーマンにもバチグンのオススメ。
☆☆☆★★(☆= 20 点・★= 5 点)
BABA Original: 2002-May-16;