ルーヴルの怪人
800 年の歴史を誇り、世界最古の美術館に数えられるルーヴル美術館。なんか、「名無しの亡霊が自分の名前を探してウロウロしている」っちゅう怪談があるでそうです。そのルーヴルにミイラの怨霊がよみがえりソフィー・マルソーにのり移って悪さを繰り返します。ソフィーにホの字の電気工事工フレデリック・ディフェンタール(『TAXi』のおっちょこちょい刑事)は、彼女にかけられた呪いを解くことができるのでしょうか? ダダーン!
ま、そんなことはどうでもよく、ソフィー・マルソーはルーヴルのすぐ前で小さな香水屋を営んでおり、同居の祖母が言うには「ここからはツール・ド・フランス(字幕では「自転車レース」)がよく見えるのよ!」…う、う、う、うらやましい! …私も自宅の 2 階からツール・ド・フランスが見たい。
いやそんなこともどうでもよく、さて『オペラ座の怪人』『ノートルダムのせむし男』など、パリの古い建物にはよく怪人が住んでおられるようですが、「ルーヴルの怪人」とは何ものか? ルーヴルでは、ガラスばりのピラミッドを建てたりと大規模改修で現代化が進められたわけですが、他方で「昔の良さは何処へ? 無粋な改築しおって」との批判もあるわけで、「ルーヴルの怪人」とは改築で失われてしまったルーヴルのオーラの寓意というかメタファーなんですね。大胆な改築をしてしまったからには、キッチリと怨霊を鎮める儀式をとりおこなう必要があると。パリの古い建物に住む怪人を描く物語とは、日本でいうところの「地鎮祭」に他ならないのだ。適当。
いやいやそんなこともどうでもよく、ミイラから抜け出た怨霊の CG はアメリカ映画ばりのクオリティなんですけど(つまり、メチャクチャダサいってことです)、演出その他は、やけにほのぼのしてまして「火曜サスペンス劇場」風。脱力・爆笑の連続です。素晴らしい。
とりあえず、ソフィー・マルソーが無闇にがんばっているし、実際のルーヴル美術館に大々的ロケが敢行され、『サモトラケのニケ』『モナ・リザ』なんかがさりげなく映り、「ふーむ、コレってホンモノなんだなー、なんか勿体ないでちゅ」…って感じでフランス、パリ好きの方にバチグンのオススメ作です。
☆☆★(☆= 20 点・★= 5 点)
BABA Original: 2002-Jun-27;