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 Movie Review 2002・7月18日(THU.)

スコーピオン

 …とはよくわからない邦題ですが、原題は“3000 Miles to Graceland”。“グレースランド”とは、エルヴィス・プレスリーが住んだメンフィスのお屋敷の名前ですね。ラスヴェガスのカジノから強奪した大金を巡って、強盗団のケヴィン・コスナーとカート・ラッセルが仲間割れ、悪党同士の戦いが始まる! ババーン! と、いうお話ですが、冒頭、襲われるカジノでは「全米のエルヴィスさん大集合!」パーティが開かれていたり、ケヴィン・コスナーが大のエルヴィス狂だったり、と死して 25 年、今なおアメリカで崇拝され続ける“キング”ことエルヴィス・プレスリーの小ネタが散りばめられているのが見どころでございましょうか。知らん。

 監督のデミアン・リヒテンシュタインは、プロモーション・ヴィデオを多数手がけられたそうで、オープニングの CG なんかに MTV 的お遊び映像が見受けられ、こういうの苦手な私ですが、ドラマ部分はオーソドックスに撮られてまして、なかなか良いんじゃないかしら。

 パンフによると、リヒテンシュタイン監督がリスペクトするのは、マーティン・スコセッシ、クェンティン・タランティーノ、オリヴァー・ストーン、バリー・レヴィンソンなど、だそうです。血も涙もないケヴィン・コスナーのキャラはスコセッシ風、ポップカルチャーをネタにするのはタランティーノ、演出タッチはオリヴァー・ストーン、「なんかヌルいなー」ってところはバリー・レヴィンソン、おまけに大銃撃戦はジョン・ウー・テイスト、という感じでリヒテンシュタインのオリジナリティはどこ? と思わないではないですけど、エンドタイトルでカート・ラッセルのクチパク MTV を流すところさすが MTV 出身ぽくて微笑ましいです。カート・ラッセルはその昔『ザ・シンガー』でエルヴィスその人を演じたことあり。カート・ラッセル最高! バカボンのパパみたいな顔ですけどカッコいいです。

 ケヴィン・コスナーとカート・ラッセルは、どちらも悪党なんですが、ケヴィンは冷血、カートはグッド・バッド・ガイ(ホントはいいヤツ、だけど犯罪者)、という設定。当初、逆の配役だったそうで、ケヴィンが駄々をこねて現在の配役に落ち着いたそうです。カート・ラッセルにエルヴィス・マニアを演じさせるから面白いのに、なんたることか、と思わぬでもないですが、善人役ばかりのケヴィン・コスナー、新境地を開拓しているような気もしますが、どうでもいいですね。

 テンポもよろしく、エルヴィスネタも面白いのでオススメです。

☆☆☆(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2002-Jul-18;

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