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 Movie Review 2002・12月15日(SUN.)

PERFECT BLUE
夢なら醒めて……

『千年女優』の今敏の前作アニメ『パーフェクトブルー』と同じ竹内義和の原作を、実写で映画化。監督は“ピンク四天王”の一人と呼ばれているらしい、サトウトシキ。監督自身は、アニメ版はご覧になっておられないそうで、同じ原作でも話・雰囲気は随分と違っていて、別物としてお楽しみいただけるかと存じます。

 メジャー・アイドルを目指すアイちゃん、いよいよ本格デビューを控え、グラビア撮影、レコーディングに忙しい毎日。ある日近所のコンビニに立ち寄ったところ、何たる偶然、店員はアイちゃんの熱烈ファン大森南朋(『殺し屋 1』)であった。大森南朋は、アイちゃんのことなら何でも知ってるよ! ボクはストーカーじゃあない!  アイちゃんを生きているのだ! …とのたまう危ない人ですけど、思いが高じて、ついにアイちゃんになってしまうのであった…って、何となくアニメでしか成立しない話のような気がしますし、アニメ版の方では夢と現実が入りくみ、不条理な展開も面白く見られたのですが、実写でこの設定は少々つらいかも、です。アイちゃんの顔から、大森南朋の顔にニョーンとモーフィングするカットは笑いを誘いますが。

 映画の「よく出来ている」加減では、映像に凝りまくったアニメ版の方が上でしょう。しかしどうして、実写版はさすが実写だけあって、キャラクターが生き生きと呼吸している風情(当たり前?)、アイちゃんを実際のアイドル・前田綾花が演じており、アイドルがアイドルを演じているわけですから、演技の巧拙はどうでもよく、アイドルの色っぽさみたいなものが画面にたちこめ、さすがサトウトシキは“ピンク四天王”ですなー、眼福、眼福とひとりごちたのでした。

 アイちゃんの歌手デビュー曲『夢なら醒めて』が、陰々滅々たる曲調なのはいかがなものか? と思いますし、前田綾花+大森南朋をとりまく脇役が薄い感じなのもちょっと?  ですが、前田綾花のアイドルぶりにオジサンは大喜びではないでしょうか。オジサン、アイドル好きにオススメ。

☆☆★★★(☆= 20 点・★= 5 点)

BABA Original: 2002-Dec-15;

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