ゴスフォード・
パーク
ロバート・アルトマンが描く、1932 年イギリス貴族の 3 日間のキジ撃ちパーティの全容。貴族の生活というと、貴族出身ルキノ・ヴィスコンティの『山猫』とか、ジェームズ・アイボリー『ハワーズ・エンド』なんてのがあり、それぞれに貴族階級が体現していた「美」を描き出さんとす意図があると思うのですけど(適当)、対してアルトマンですから、貴族のクソったれぶりが描かれることになるのであった。
ゴスフォード・パークに集った貴族とその召使いたち 20 数名の男女を、特に主人公を設けず等価に描いていく、『ナッシュビル』『ウェディング』など同様のアルトマンお得意の群像劇です。「階上」の貴族階級の食事やなんかを克明に描くと同時に、「階下」で忙しく立ち働く召し使いたちも克明に描かれます。若干、意地悪なリアリズムはアルトマン特有のものでございますね。
また大勢のキャラクターが一つのイベントに向かってそれぞれ行動し続け、これまた格別のグルーヴ感。主人公を設けないことでイベントの混沌とした雰囲気がいや増して、それは社会の混沌を映す鏡なのである。適当。
得てして「貴族階級/上流階級」を批判するために、それらを戯画化・類型化して描きがちで、そうすると安物の左翼映画(って何?)になってしまうところですが、貴族をリアルに描くと同時に召使い階級も丁寧に描いてみたら、貴族階級に属する人間のくだらなさがプーンと臭いました、という印象でございます。くだらない人間が貴い人のフリをする「スノビズム」を徹底して嘲笑し続けるアルトマン、最高ですね。
「優れた召使いの資質は、先を読む能力よ!」とキッパリ言い切るヘレン・ミリンがバチグンにカッコ良く、その他クリスティン・スコット=トーマス、ボブ・バラバン、マギー・スミス、エミリー・ワトソンなどなど、「うーんと、名前は聞いたことがあるけど、誰やったかなー?」って感じの豪華(?)キャスト多数でバチグンのオススメです。あー面白かった。
☆☆☆★★(☆= 20 点・★= 5 点)
BABA Original: 2002-Dec-14;